日本の貿易収支の状況は?
今回は、日本の貿易収支についてご紹介します。
貿易収支とは、輸出総額から輸入総額を差し引いたものを指す、日本と海外とのお金のやりとりを示す主要な統計の一つです。
皆さんには、そんな貿易収支から見えてくる、日本の貿易事情をお伝えしましょう。
日本の貿易収支は2011年から2015年まで赤字だった
皆さんは、日本の国全体の輸出総額、輸入総額がいくら程度あるかご存知でしょうか?
財務省貿易統計によれば、2020年の輸出総額は68兆399億円、輸入総額は68兆11億円になっています。
ちなみに2016年の貿易収支(輸出総額ー輸入総額)は黒字でした。
しかし2011年は輸出総額約65兆円で輸入総額約68兆円、2015年は輸出総額約75兆円で輸入総額約78兆円と、
その直近5年間は赤字でした。
一時は貿易大国と言われた日本ですが、徐々に輸入総額が輸出総額に近付いてきました。
2011年に約40年ぶりに(1969年以来)貿易収支が赤字となり、そのことは当時大々的なニュースにもなりました。
赤字になった要因の一つとして挙げられているのは、製造企業の生産現場が海外移転したことです。
海外で生産したものを日本に仕入れることになると、輸入量が増えることになります。
そして海外拠点からの輸出になることで、日本からの輸出額が減ります。
また、日本の主要輸入先のアジアの国々の経済発展により輸入価格が上昇し、輸入総額が増えたということも要因のひとつと指摘されています。
ここで注意して頂きたいのは、
貿易収支の赤字は一般的に使われるマイナスの意味(損をする、借金をするなど)ではないということです。
貿易収支は、単に輸出額というのは国内企業が海外企業から受け取る金額を反映し、
輸入額は海外から受け取る金額を反映したものです。
つまり、貿易収支の赤字は直接的に赤字経営とは関係ありません。
ただ、貿易収支はその国の「輸出する力」「外貨を稼ぐ力」をはかる指標となっています。
黒字から赤字になったということは、その力が弱まっていることを表しています。
日本は新しい国際取引を行うことで「世界で稼ぐ力」を目指す
ちなみに、現在では経済が成熟すると貿易収支が減少するといわれています。
とはいえ、日本の「世界で稼ぐ力」が「輸出する力」だけで決まるということはありません。
例えば、インバウンド(観光)に代表されるように、「海外の人を日本へ呼び込む力」というのも国際取引の一つです。
そして外国企業への(証券など)投資によって得る利益も一つです。
また、日本企業が海外に生産拠点を移転しても、その地から発展していけば、それも日本国内の経済的にも大きな影響があります。
しかし日本政府は、いくつか課題を抱えています。
一つは貿易収支の赤字の額が増えていること。
そして、日本企業の中には海外へ輸出するだけのポテンシャルがあるのに上手く活用できていないということです。
例えば、貿易相手国に対して経済連携協定(EPA)を働きかけて貿易取引を行いやすくしようと工夫を行っています。
他にも、日本の独自性のある商品やサービス(クールジャパンの推進など)を海外に発信するなど、
積極的に売り込む機会をつくっています。
この戦略はすぐに効果が見えるものばかりではないでしょう。
しかし今後、日本の貿易収支に影響を与えていくかもしれません。
日本を取り巻く国際情勢は刻一刻と変化しています。
最新の情報を確認したい場合は、財務省の公式サイトなどにある情報を見てみるのも参考になります。
貿易収支をより詳しく確認しておきたい場合は、是非チェックしておきましょう。