「個人」だからこそできる、海外メーカーとの交渉術とは?

個人で貿易を始めても、大手企業に敵うわけがない。
一般的な常識として、そう思われている方も多いのではないでしょうか?

もちろん、ある意味ではそれは正解です。
しかし、個人だからこそ大手企業に勝てる部分があることも事実です。

今回は、「個人」だからこそ可能な、海外メーカーとの交渉を有利に進める方法について解説します。

大竹

まずは、海外メーカーから日本がどのように見えているかを確認していきましょう。

目次

海外メーカーは日本市場開拓を狙っている

日本の未来は絶望的、衰退していく……

将来が不安視されている我が国ですが、「人口1億 2000 万人の『経済大国 JAPAN』」であることに変わりはありません。

実は、そんな日本市場は海外の人々からとても独特な印象を持たれており、そのために日本へ進出していないメーカーはまだまだたくさんあるのです。

彼らは口をそろえて、こう言います。
「日本のマーケットは独特で、どうやって売ったらいいのかわからない」

それでもマーケットが大きいことをわかっているので、
「ぜひ日本で自分たちの商品を販売したい」
「日本の窓口になってくれるパートナーが欲しい」
と熱望しているのです。

彼らは、日本という市場に大きな期待を持っています。
そして、一緒にビジネスをしてくれるパートナーを求めているのです。

私たちは個人の貿易家だとしても、立派な日本のバイヤーです。
だからこそ、堂々と胸を張って商談や交渉を進めていきましょう。

海外とのやり取りは基本的にはメールで OK!

海外メーカーとのやり取りは、基本的にメールで行います。

そのため、英語が苦手な方でも Google 翻訳などの翻訳サービスを利用して、ゆっくり文章をつくりながら彼らとやり取りをすることが可能です。
英語が得意な人のほうが有利な面もあると思いますが、さまざまなツールやサービスを使うことで、その差を埋めることは十分可能です。 

特にアジア圏のメーカーの場合、彼らにとっても英語は母国語ではないため、多少文章に間違いがあることは日常茶飯事です。
理解できなところがあれば、確認を繰り返しながら堂々と話を進めていきましょう。

何よりも大事なことは、あなたがその商品に惚れ込んでいるかということ。

「どうしてもあなたの商品を日本で販売させてほしい!」

こういった情熱のほうが、言語よりも断然大切なのです。

余談ですが、ヨーロッパ人はメールのレスポンスがとても遅いです。アメリカ人もそんなに早くはありません。
逆に、香港・中国・台湾などアジア人は1〜2時間後には返事が返ってくるくらい、とてもレスポンスが早いです。これは国民性と言うべきでしょうか。
私たちはヨーロッパのレスの遅さを、通称「白人タイム」と呼んでいるのですが、ヨーロッパのメーカーとの取引では1週間ぐらい返事がこないこともザラです。

突然バカンスに行ってしまい、2週間も音沙汰なしということもあります。
私たちにとっては冷や汗ものですが、そういう人種なのだと理解しておくといいでしょう。

在宅ワークでも総代理権を取る方法

先ほどお話ししたように、海外メーカーとは基本的にメールでやり取りをするので、商品のリサーチから交渉をすべて在宅で完結することもできます。
まずは、1商品を販売させてほしいというところから始めるのが定石です。

その商品をしっかりと販売して実績を積み、扱う商品を増やし、仕入れ価格を下げてもらうという流れでどんどん関係性を深めていきます。
そして、最終的に「総代理」というところまでつなげていくのが目指すべき流れです。

個人貿易家の強みは、1つの商品にフォーカスできること!
まずは、その1商品に一点集中することです。

クラウドファンディングなども活用し、確実に結果を出して実績を積み、より良い条件を獲得していきましょう。
取引が進んできたら、メーカーの会社を訪問することをお勧めします。

私もこれまで何度も海外の取引先を訪問しましたが、遠い場所からよく来てくれたと大歓迎してくれました。

最寄りの空港まで迎えに来てくれたり、豪華なディナーを用意してくれたり、社員みなさんと一緒に食卓を囲んだりしたことも何度もあります。
お酒を交わして、相手国との文化の違いや生活習慣の違いなどをお互いに話し合う。
お互いの子供の写真を見せ合ったりして楽しく笑う……。

そういったビジネスを通じての海外とのコミュニケーションというのは、まさに貿易家の醍醐味です。

絶対に悪いようにならないことは私が保証しますので、ぜひ取引先を積極的に訪問してみてください。

ビジネスの面でも、メーカーを訪問すると直接社長と話をする機会があることも少なくありません。
社長と話をしているうちに、突然仕入れ価格を下げてくれるなど、奇跡のようなことが起こったりします(笑)。

インターネットで完結できてしまう時代ではありますが、やはり最終的にビジネスは「人」と「人」なのだと、私は貿易を通じて学びました。

大竹

相手とリアルで会って、顔を合わせてコミュニケーションを取るというのは、本当に大切なことなのです。

海外とのビジネスにおいての交渉とは?

前章では、海外メーカーとの温かいやり取りについて説明しましたが、一方で貿易はビジネスであり、交渉が必要であるということも事実です。
ビジネスにおいて、交渉とは何でしょうか?

少し考えてみてください。

私の答えは……

「自分の要求をギリギリまで通すこと」です。

大事なことなのでもう一度言います。
ビジネスにおいての交渉というのは、「自分の要求をギリギリまで通すこと」なのです。

日本人は議論や交渉などが苦手だと言われています。
それは、私たちがそういう教育を受けてきていないからなのかもしれませんし、日本人の DNA なのかもしれません。

しかし、海外はそうではありません。自分が思ったことをどんどん主張していく文化を持っています。
だから、ビジネスにおける交渉では、遠慮なく要求はしっかりと伝えるべきなのです。

ビジネスで大事なのは Win-Win だとよく言われます。

それはもちろんその通りなのですが、Win-Win の状態になるためには、まずは相手に交渉の席に座ってもらうことが必要です。

交渉の席に座ってもらって初めて取引が生まれ、商売が始まり、ともに Win-Win を目指していくということができるようになります。
お互いがしっかりと手をつないでから、ビジネスが進んでいくということが大前提です。

どちらか一方が得をするだけでは Win-Win とは言えません。
ここを勘違いしている方も多いので、改めて説明させていただきました。

買う側(私たち)としては、なるべく安く買いたい、なるべく早く届けてほしい、なるべく品質の良いものをつくってほしいなどの要求があるわけですから、それを丁寧に相手に伝えていくというのが大事です。
そこを遠慮してしまうと、うまくいかなくなり、Win-Win の関係にはなれません。

まずは相手にこの人と取引したいと興味を持ってもらい、交渉の席に座ってもらうことが必要なのです。

「個人」だからこそ交渉が有利な理由とは?

一般的に貿易や物販というのは資金が多いほうが強いのは言うまでもありません。

実績がものを言う世界でもあるので、資金も実績もない個人がとても太刀打ちできるとは常識で考えたらあり得ないと思われるでしょう。
実際によくその点については質問されますが、個人だからこそ有利なこともあるのです。

それは何だと思いますか?

答えは「一点集中」です。
我々のような個人や小規模な会社というのは、1つの商品に集中することができます。

一般的に輸入商社はたくさんの商品の代理店であるため、それぞれの商品すべてにしっかりとプロモーションができている訳ではありません。
たとえば、一番売れるもの、一番利益率が高いもの、早く届けられるものなど、その会社にとって都合が良いものからプロモーションしていくことになります。

全部が均等にプロモーションされているわけではないので、いわば置き去りになってしまっている商品もあるわけです。
その置き去りになっている商品の裏にもメーカーがいます。

彼らは、自分たちの愛する商品が望んだように販売されない状況を見て、
「もっとしっかり売ってほしいのに……」
と不満を抱えていることが多いのです。

ですから、我々は
「私たちに任せてください!この1商品に集中して必ず売ります!」
とアピールするのです。

個人が交渉を有利にもっていくためには、これしかありません。
また、私たちはクラウドファンディングという新しい武器を使うことができます。

まだまだ一般的には、クラウドファンディングが貿易に使えることは、それほど知られていないため、先行販売やテストマーケティングに活用できることを丁寧に説明してあげることで、個人でも海外メーカーから強い興味を持ってもらうことができます。

海外メーカーから販売を任せてもらったら、とにかく全力でその商品を売り、実績をつくりましょう。

海外メーカーから「信頼」を増やしていけば、
「それでは他の商品も販売してください」
「ほかのブランド商品も扱ってくれませんか?」
「仕入れ価格を下げて提供します」
「すべてあなたに任せます!」
という感じで、どんどん有利な条件も与えてもらえるように発展していきます。

まずは1商品のみの「正規販売店」から「正規代理店」へ。
そして「総代理店」というふうに、メーカーとのつながりを深めていきましょう。

ちなみに、クラウドファンディングは、海外メーカーから見ても「しっかりプロモーションした感」がわかりやすい形で伝わるので、支援額にかかわらず信頼につながりやすいというのもお伝えしておきます。



大竹

今回は、「個人」だからこそできる海外メーカーとの交渉を有利に運ぶ方法についてご紹介させていただきました。

個人貿易では、大手には真似できない「一つの商品に集中したプロモーション」を実現することができます。

大手に置き去りにされた商品を一点集中で販売していくのです。

また、クラウドファンディングは個人貿易における強力な武器と言えます。
クラウドファンディングを活用して、海外メーカーからの信頼を獲得していきましょう。

セカワク公式YouTubeチャンネル
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この記事を書いた人

大竹 秀明 大竹 秀明 一般社団法人まじめに輸入ビジネスを研究する会 代表理事

1974年生まれ 神奈川県横浜市出身
元ビジュアル系メジャーギタリスト (EMIミュージックジャパン)から34歳の時に貿易家に転身。
資金や語学力がない初心者でもクラウドファンディングを活用した貿易物販ビジネスが構築できる『ひとり貿易』を生み出す。
これまでのプロデュース実績は累計700件・15億円以上。
ひとり貿易コンサルタントとして10年間で1万人以上に講演指導を行い、日本郵便やYahoo!、東京インターナショナルギフトショーなどでも講演。
Makuakeエバンジェリスト・CAMPFIREキュレーションパートナー・GREENFUNDINGパートナーと、史上唯一の3大クラウドファンディング公式パートナーを務める。
「セカイをワクワクさせる貿易家を生み出す」 を理念として精力的に活動中。

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