無償サンプルなのに、なぜインボイスに金額を書くのか
皆さんは貿易のお仕事をしている中で、時々「なぜ、これはこうなっているんだろう?」と気になることもあるのではないでしょうか?
そんな時は、貿易に関する疑問点は実際に調べたり、経験者に聞いたりして、解消しておくことが大切です。
今回は、「No Commercial Value」の無償サンプル品にもなぜインボイスで金額を書くのかご紹介していきます。
そもそも無償サンプルでも、なぜインボイスに金額を書くのか?
サンプル品を海外に送る際、たとえ無償提供でも、インボイスに価格を記載しないといけないのはどうしてなのか、疑問に思ったことはありませんか?
インボイスには「No Commercial Value」と記載しますし、商業用でないのなら「なぜ価格を書かないといけないのだろう?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、「外国貨物の輸入には関税がかかる」という原則があるので、価格は書かなくてはいけません。
恐らくこの規則は世界各国共通であり、無償サンプルだから免税というルールがあるわけではありません。
一般的な関税制度との関係
輸入品には関税がかかるというのが原則です。
しかし、場合によっては輸入サンプルに関税がかかっていない場合もあります。
各国で関税制度は多少異なっていますが、一般的に無償だから関税がかからないのではありません。
商業用ではないサンプル品であること、かつ記載する価格が関税をかける額に満たない場合には、関税がかかっていないことがあります。
つまり、商業品でないサンプル品であっても、記載した価格が高ければ関税がかかる可能性はあります。
税関での確認について
税関も、書類に「No Commercial Value」と記載され、価格も少額で記載されていたとしても、そのサンプルの価値が高く、実際に国内で販売される可能性があるかどうかはチェックしているはずです。
そのため、税関は輸入者に本当にそのサンプルが非売品なのか、何に使用するのかを確認する場合もあります。
また、記載された金額が不相応に低い場合には、価格表記に対して注意を促してくることもあります。
つまり「No Commercial Value」だから、無償サンプル品だから、といって、関税がかからないというわけではありません。
あくまでいくつかの条件が重なって、関税がかかっていないだけなのです。
今回は、無償サンプル品でもなぜインボイスに金額を書くのか、詳しくご紹介しました。
関税制度について、より理解が深まりましたでしょうか?
これからも貿易事務をする中で疑問に感じたことは、積極的に調べてみましょう。