中国で作られた部品を日本で組み立てたら製造国はどこになる?
中国で作られた部品を日本で組み立てたら「Made in Japan」と「Made in China」のどちらになるでしょう?
貿易事務の仕事では事務的なスキルも身につく一方で、商品や業界の知識も身につくと思います。
実務経験を積んでいると、そうした実感が徐々に湧いてくるのではないでしょうか。
それでもやはり、「この場合はどうなるのだろう?」と悩むこともあるかと思います。
今回は製造国の扱いについて、少し詳しい説明をしていきましょう。
何をもって「メイドインジャパン」とするのか?
例えば、中国から材料を仕入れて日本で製造した再輸出する商品は、「メイドインジャパン」なのか、それとも「メイドインチャイナ」のように外国産になるのか疑問に思う場面があると思います。
日本には輸出する物品について、これが日本製だと判断する原産地判定基準がありません。
つまり、該当する法律がないのです。
これは、再輸出だから法律がないというわけでなく、通常の輸出でもありません。
こうした外国産の原材料や部品を使って日本で製造された商品は、専門的にいうと「非原産材料を使って日本で製造されたもの」といいます。
これらについては、貿易取引において日本製である証明する必要があることがあり、その際に用いられている基準がいくつかあります。
EPAを締結している国に向けての輸出では、輸出先の免税を受けるために、商工会議所で「特定原産地証明書」を発行します。
この基準については商品によって異なるので、詳しくはフォワーダーに尋ねるといいでしょう。
フォワーダーには必ず通関士がいますし、事情に精通していますから、的確に相談に乗ってくれるはずです。
実際に考えられる様々なケース
例えば商品によって異なるのですが、商品の原材料のうち何%(例:60%)以上が日本で製造されたものを日本製だと基準にしているものもあれば、金額(価値)で何%以上であれば日本製という基準もあります。
他には、輸入した部品が電子機器だったとして、輸出する完成品がパソコンだったとします。
電子機器とパソコンのHSコードは違うので、輸入した物品と輸出する物品は別物です。
そのため、それは日本で作られた製品、「メイドインジャパン」だとする基準もあります。
つまりは、ケースバイケースとなるわけです。
実際に法律があるわけではないので、EPA協定を結んでいる国との条約では、日本製とされる基準が記載されていることが多いです。
その基準が、その国における「メイドインジャパン」です。
ですが、他の国との取引ではそれが適用されるわけではありません。
農産物や海産物は国産(メイドインジャパン)を謳いやすい商品です。
一方で、何かしら海外から輸入した原材料や部品を使用した鉱工業製品では国産の基準を表すことが難しくなります。
日本製だという(特定)原産地証明書を発行する必要がある時には、証明書を発行する商工会議所、税関や各省庁、通関士のいるフォワーダーなどに尋ねましょう。
「Made in Japan」とされるかどうかはケースバイケースだということがご理解頂けましたでしょうか?
EPAを締結している国に向けての輸出では、輸出先の免税を受けるために、商工会議所で「特定原産地証明書」を発行します。
また日本製だという(特定)原産地証明書を発行する必要がある時には、やはり専門家に相談することが確実です。
貿易実務の場では、迷ったらきちんと周りに相談をしながら確認を進めましょう。