「税関の事後調査」に向けて準備すべきことは?
税関とは、主に港や空港に置かれた貨物の確認や、関税の取立てなどを行う国家機関のことです。
では、税関以外の場所で、輸出入通関後に税関職員による調査が行われる場合があることをご存知でしょうか?
今回は「税関の事後調査」について、分かりやすくご説明します。
「税関の事後調査」とは具体的には何を調査するのか?
税関は、日々数多くの輸出・輸入申告内容を確認したりしています。
そして時には、保税地域にある貨物を直々に確認したり、貨物から商品を一部抜き取って検査したりと、輸出入者が適切に申告しているかをチェックしています。
そのチェックは申告があった時だけではなく、改めて申告内容などを確認する場合があり、これを「(税関の)事後調査」と呼んでいます。
「税関の事後調査」は輸出者と輸入者を対象に実施され、税関職員が直接会社を訪問して行うケースが一般的です。
その際に、輸出者や輸入者は税関職員が求める貿易取引に関係する書類や帳簿などを提出しなければなりません。
提出された書類などを、税関職員は改めて確認(調査)します。
ちなみに、事後調査で求められる代表的な書類は以下の書類です。
・売買契約書
・インボイス(Invoice/送り状)
・輸出許可書、輸入許可書
・送金明細書、受取金明細書
その他にも、取引に関する事柄が記載されたE-mailなどの提出を求められたり、輸出者や輸入者の貿易事務が、税関職員から質問を受けたりするケースもあります。
なお貿易関連書類だけでなく、取引に関わる電磁的記録についても5年間の保管義務があります。
そして、万一、輸出入者が間違った解釈をしていたり、申告内容に誤りがあったりすれば、税関は指導を行います。
例えば、輸入者に納税申告ミスがあれば、税関職員は適正な指導を施し、輸入者は修正申告をして不足税額を納めるということもあります。
貿易事務は日ごろから関係書類を整理し、保管しておく
通常、商社や貿易会社は、先ほど挙げた書類をはじめ、B/L(Bill of Lading/ビーエル/船荷証券) やパッキングリスト(Packing List)、原産地証明書のコピーなどをしっかり保管しています。
そのため、事後調査が入るからといって、それほど慌てる必要はないものではありますが、もし万全でない場合は、きちんとファイリングを徹底しておきましょう。
例えば、ファイルを取引相手国ごとに分けたり、取引企業ごとで変えたり、そのファイリングする船積書類も重ねる順番を決めておいたりすると、自分たちも過去の輸出入取引について調べるときに便利になります。
具体的には、表紙はB/L、次にインボイス、パッキングリスト……の順になるように整理するなどです。
貿易事務の方は「税関の事後調査」に備えて、日ごろから誰が見てもわかりやすい書類のファイリングや整理整頓を心がけてください。
今回は税関の事後調査についてご説明しました。
実際に事後調査が入るケースはあまり多くはないかもしれません。
しかし、日ごろから関連書類をしっかりと整理・保管しておくことでスムーズに対応できます。
貿易実務に携わる方々は、しっかりと書類やデータをわかりやすく保存しておきましょう。