「三国間貿易」の仕組みとは?
貿易自由化という時代背景のもと、様々な企業が「三国間貿易(さんごくかんぼうえき)」を行うようになってきました。
しかし、皆さんはこの制度が一体どのような仕組みの貿易取引なのかご存知でしょうか?
今回は「三国間貿易」の仕組みやメリットについて、分かりやすく解説していきます。
お金と物の流れが通常とは異なる「三国間貿易」
「三国間貿易」は、文字通り3つの国の間で貿易を行うことです。
例えば、日本のA社がドイツのB社の商品をアジア圏の販売代理店として取り扱っていて、日本のA社がベトナムのC社と商品売買契約を結んだとします。
その際、商品(貨物)自体はドイツB社からベトナムC社に直接送られ、商品代金は輸入者で買主であるベトナムC社から売主である日本A社に支払います。
また、日本A社もドイツB社に支払うという、実際の物の流れとお金の流れが異なる動きをする貿易取引を「三国間貿易」といいます。
「三国間貿易」の仕組み
先程の例のように、「三国間貿易」において、日本A社は輸出者でも輸入者でもありません。
しかし、「仲介者」として商品の売買契約に関わっていて、ベトナムC社にとっては商品の売主、ドイツB社にとっては商品の買主という立ち位置になります。
ちなみに、「三国間貿易」は仲介貿易の一種です。
二者間の貿易取引では、貨物の輸出者(Shipper)と売主(Seller)、貨物の輸入者(Consignee)と買主(Buyer)が基本的に一致するものです。
その一方で、「三国間貿易」の場合はこのような立場が異なるわけです。
「三国間貿易」が行われる理由
「三国間貿易」は二者間の取引に比べて、取引相手が増える分、状況を把握しなければならないことも増えます。
そのため、少々手間はかかるのですが、企業にとってメリットがあるからこそ行われています。
例えば、ベトナムC社は、ドイツB社との直接取引が初めての場合、信用問題をクリアしなければなりません。
更に価格などの条件も、折衝しなければいけないといった手間がかかります。
しかし、日本A社から買うことによって、その手間を省くことができます。
また、日本A社は、輸出者と輸入者という立ち位置ではないですが、ドイツB社からの仕入れ値にマージンを上乗せした価格で販売することで、利益を得られます。
その上で、日本の場合はこの取引で貨物を国内に搬入しているわけではないため、ベトナムC社からの支払い代金に消費税がかからないというメリットもあります。
ドイツB社にとっても、自分たちの営業活動外で日本A社に販売してもらえれば、自社で販促費用をかけずとも、商品販売の利益を得ることができます。
「三国間貿易」を一言で語るのは難しいですが、このように三者三様のメリットがあるということを理解しておくと良いでしょう。
今回は「三国間貿易」の概要についてご紹介しました。
皆さんも「三国間貿易」の仕組みやメリットについて理解を深められたでしょうか?
特に貿易実務に携わる方々は、しっかりと抑えておきましょう。