関税を軽減する特恵関税! 制度の概要や必要書類を徹底解説!!
みなさんは「特恵関税」をご存じでしょうか?
特恵関税が適用されると、税率の軽減や関税の免除が行われることになります。
一般的には特恵関税が適用されるためには、「原産地証明」が必要です。
今回は、そんな特恵関税と原産地証明について説明させていただきます。
発展途上国支援を目的とした「特恵関税」
貿易取引によって国外から商品を輸入した場合、関税が課されることになります。
関税は法律や条約によって定められており、輸入品の価格や数量に応じて課税が行われる税金の一種です。
特恵関税とは、特定の原産地からの輸入に対する関税の軽減や免除を行う制度です。
制度の趣旨は、発展途上国の支援とされています。
発展途上国からの輸入品に対する関税を軽減することにより、当該国からの輸入を増やし、経済の発展に貢献するのが目的なのです。
なお、特恵関税が適用される国や商品、軽減後の税率は法令で定められており、国や商品ごとに適用される税率は異なります。
特恵関税の適用を受けることができる国のことを「特恵受益国」と呼び、2021年4月1日時点で127か国5地域が指定されています。
また、特恵受益国の中でも特に発展が遅れている45ヶ国のことを後発開発途上国(LDC)と呼び、ほとんどの商品に対する関税が免除されます。
この制度のことを、「特別特恵関税」と言います。
特恵受益国の一覧については、下記外務省のウェブサイトを参照ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/t_kanzei/index.html
特恵関税適用には「原産地証明」が必要
特恵受益国からの輸入に特恵関税を適用させるためには、原産地証明が必要です。
原産地証明とは、その名のとおりその商品がどこで生産されたかを証明する書類で、商品の輸出地において発行されることになります。
特恵関税の提供を受けるためには、その原産地証明を取得することに加え、商品が他の国等を経由せずに輸出地から直接日本へ輸入される「直送条件」も必要となります。
原産地証明の正式名称は、「一般特恵制度原産地証明書様式A」というため、貿易関連業者の中では、Form A(フォーム・エー)と言われることもあるので覚えておきましょう。
原産地証明に関する注意点
ここでは、輸入者の視点で原産地証明に関して注意しておかなければならないことを説明してきます。
一つは、原産地証明の発行が遅れることが多々あるということです。
通常は船積書類とともに送付されてきますが、輸出者側の対応によっては遅れて送付されることがあります。
これは、原産地証明はB/Lが発行されたあとで商工会議所等への申請を行って取得する必要があるからです。
あまりにも発行が遅れる場合は、輸出者へ連絡して状況を確認するようにしましょう。
もう一つは、原産地証明の記載内容に誤りがあると特恵関税が適用されないということです。
インボイスやB/Lと原産地証明の内容が異なる場合は、特恵関税の対象となりません。
原産地証明は原本を提出することが求められるため、そのような場合は輸出者と連絡を取り、再度発行手続きを行ってもらうことになります。
そうなってしまうと、非常に時間と手間がかかってしまいますので、必ず事前に原産地証明のデータをメールで送付してもらい、その内容を確認するようにしましょう。
今回は、特恵関税と原産地証明について説明させていただきました。
特恵関税は、発展途上国の支援を目的として輸入品の関税を軽減する制度です。
そして、特恵関税を適用するためには、該当国で生産されたものであることを示す原産地証明が必要となります。
原産地証明を取得する際は、今回紹介させていただいた点に注意して手続きを進めていきましょう。