海外メーカーとの交渉を成功に導くテクニックを徹底解説!
今回は、海外メーカーとの交渉を成功に導く様々なテクニックについて説明していきます。
交渉の場では、相手を騙すような小手先のテクニックはすぐに見破られてしまいます。
大切なのは、海外メーカーの担当者がどうすればあなたに商品を任せたくなるかということを考えることです。
まずは、メーカーに振り向いてもらうための基本的テクニックから確認していきましょう。
メーカーを振り向かせる3つの基本テクニック
取引をするにあたり、最初に心得ておくべきことが3つあります。
まず1つ目は、対面の場合は、まっすぐ相手の目を見て話すことです。
なんだそんなことかと思うかもしれませんが、基本的なことほど大切です。
自信なさげに下を向きながら話したり、よそ見をしながら話したりするのと、相手の目を見て話すのとでは、どちらが相手に気持ちが伝わるかは言うまでもありません。
相手の目を見つめたら、3秒数えましょう。そしてニッコリして話を進めていきます。
日常の会話で無意識に相手の目を見ないで話している人にとっては、これは意識しなければできません。
慣れると決して難しいことではないのですが、普段やっていないことは簡単にはなかなかできないものです。
取引のような大事な話の場では、しっかり相手の目を見て自信を持って話しましょう。
2つ目は、彼らが何を望んでいるかを察することです。
当然ですが、ビジネスをするのですから相手にも目的があります。
たとえば「日本でこの商品を 1000 個売ってくれるのだったら、あなたと取引するよ」と思っているかもしれませんし、「日本のデパートに商品を並べたい」と考えているかもしれません。
仮にきつめの提案だったとしても、取引する前から無理な値引き交渉や無意味な質問を繰り返すと、相手もがっかりしてしまいます。
「一緒に頑張って、あなたの素晴らしい商品を日本で広めましょう!」という姿勢で話を進めることが大切です。
もしも相手からの質問に対して具体的な回答ができない場合は、質問には質問で返します。
たとえば「年間の販売目標は何個ですか?」と聞かれた場合であれば、「あなたは何個売りたいと考えていますか?」と返すような形です。
すると「年間 3000 個は売りたい」などと返答があるはずなので、「それならば、私に任せてください」と返すことができます。
すでにほかの国で販売されている場合、「アメリカでは年間何個売れているのですか?」と返して、その数字を基準に日本での販売目標を決めていくのも有効です。
そして、3つ目は、情熱を目いっぱい伝えることです。
その商品にどれだけ自分が惚れ込んでいるかを熱くプレゼンしましょう。
「あなたの商品を販売したい」と淡々と話す人と、「あなたの商品は最高です!ぜひ私に任せてください!私ならこの商品を日本中に広げられます!」と気持ちを込めて話す人がいたら、あなたはどちらを選びたいでしょうか?
条件面などを横に置いたとすれば、もちろん後者を選ぶでしょう。
誰だって自分の商品をすごく気に入ってくれて、一生懸命売ってくれそうな人に任せたいはずです。
取引における最重要事項は英語力ではありません、気持ちの強さです。
取引の場では、熱苦しいくらいの情熱を相手にぶつけましょう。
大袈裟なぐらいがちょうどいいのです。
たとえば、海外展示会などで本気で惚れ込んだ商品に出会ったら、翌日もブースに通ったり、日本のお菓子などをプレゼントしたりするぐらいの情熱が相手の心に響きます。
ギフトをプレゼントする手法は、私も昔から実践をしてきましたが、好感度は非常に高いです。
これまで私のクライアントにも勧めてきた結果、大手ライバル企業を押しのけて取引を獲得してきた事例も数多くあります。とても効果的なやり方ですので、覚えておいてください。
ちなみに「東京バナナ」は海外の方に大好評のようです(笑)。
相手がNOとは言えない4つのオファーとは?
それでは具体的には、どのように海外メーカーと話を進めていけばいいのでしょうか。
ここでは、相手の首を横には振らせない「Noとは言えない交渉」をお伝えします。
これは実際に、私自身が現場で行っていることであり、クライアントにも教えているものですので、とても価値が高い内容だと思っていただけるとうれしいです。
オファーは大きく分けると4つの提案となります。
1.Makuakeでの先行販売&プロモーション
2.ビックカメラ・東急ハンズ・LOFT など有名量販店への営業(オフライン)
3.amazon・楽天市場・その他ネットショップなどインターネットでの販売(オンライン)
4.東京インターナショナル・ギフトショーへ、こちら側の負担で出展
1.Makuakeでの先行販売&プロモーション
日本で No.1 のクラウドファンディングサイト「Makuake」で先行販売するというのは大きなポイントになります。
Makuakeで過去に類似商品のファンディングがあれば、その事例も見せながら、
「過去のプロジェクトでは、類似商品が 700 万円売れている」
「あなたの商品はこれよりも高性能なので、もっと高い支援額になると思う」
という感じで説明をしていきます。これだけでも絶大な効果が見込めます。
ちなみに、メーカーにMakuakeの話をすると、「クラウドファンディング?もうKickstarter でやったよ?」と聞いてくるメーカーがいます。
つまり、もうすでにやっているのに、なぜもう一度やるのか?と聞いてきているわけです。
そこで、
「今、日本では新しい販売方法のひとつとして、クラウドファンディングが活用できるのです。商品もこんなに売れますし、プロモーションの効果もあります。」
という感じで丁寧に説明します。
仕組みをきちんと理解してもらえると、ほぼすべてのメーカーが、この新しい販売方法に興味を持ってくれます。
興奮しながら「ぜひやりたい!」と言ってくれるでしょう。
2. ビックカメラ・東急ハンズ・LOFT など有名量販店への営業
やはり大型店舗での展開は、海外メーカーはとても望んでいることです。
大口注文を見込めるので、オフラインでの販売をアピールしましょう。
今の段階では、取引口座を持っていなくてもかまいません。熱意を持って営業しますという姿勢で話を進めていきましょう。
ちなみに、ここで挙げている大手量販店はウェブ窓口があるので、インターネットから商品の提案ができるということを知っておいてください。
〈新商品の提案窓口〉
⃝東急ハンズ
https://www.tokyu-hands.co.jp/company/sinsyohin-01.html
⃝ LOFT
https://www.loft.co.jp/suggestion/
⃝ビックカメラ
https://www.biccamera.co.jp/bicgroup/products/index.html
⃝ドン・キホーテ
https://ppi-hd.co.jp/contact/partner8.php
残念ながら、日本国内の売買契約では会社同士の取引が一般的なので、実績のない個人が大手量販店と直接つながるのは、ほぼ不可能です。
しかし、卸者や問屋を間に入れることで取引をすることが可能になりますので、諦めずに挑戦していきましょう。
3.Amazon・楽天市場・その他ネットショップなどでの販売
ネットでの販売はマストです。
オフラインと並行して、オンラインでも売っていくことをしっかり伝えておきましょう。
amazonでの商品の販売については、著書『Amazon 個人輸入 はじめる&儲ける 超実践テク 104』(技術評論社)をお読みいただけるとわかりやすいかと思います。
おかげ様で、ネット輸入ビジネスのバイブルとして、多くの方にお読みいただいておりますので、オンラインでの販売の参考にしてみてください。
4. 東京インターナショナル・ギフトショーへ、こちら側の負担で出展
毎年2月と9月に東京ビッグサイトで開催される日本で一番大きな展示会、東京インターナショナル・ギフトショーに出展し、BtoBの販路拡大に力を入れることも話しておきましょう。
ギフトショーは我々にとって絶好の取引の場です。
大きなチャンスがある分、出展料も安くはありませんが、その出展料もこちらで負担すると言えば、メーカーはもう首を縦に振るしかありません(笑)。
「そこまでしてくれるなら、もうあなたに任せるよ!」となる確率は、非常に高くなります。
ギフトショーには出展料を回収できるだけのチャンスはゴロゴロ転がっています。
その後の展開を考えると積極的に参加していくことをお勧めしています。
個人の方や事業をはじめたばかりで先行投資できない方は、すでに出展している会社のブースに商品を置かせていただくことや、仲間同士で資金を出し合って出展するという方法も考えられます。
ただし、東京ギフトショーは規約上「共同出展は NG」となっていますので、代表する会社名義で出展をすることになりますので注意しておきましょう。
弊社でも定期的に出展をしています。BtoBの販路拡大に興味がある方はご相談ください。
これらのオファーというのは、海外メーカーにとって、いっさいのリスクがなく、最大限の販売拡大が見込めるような内容になっています。
つまり、断る理由が1つもないのです。
この4つのオファーを駆使し、自信を持って交渉していきましょう!
初公開!貿易業界の常識を覆す、禁断の略奪愛テクニック
きわどいタイトルで申し訳ありません(笑)。
このことを説明するために、まず私が海外展示会に行き始めた頃の話をさせてください。
私は社会人経験もなければ、数年前まではただのバンドマンでしかなかった人間です。
当然、海外展示会での商談の仕方も、何もかもが未知の世界でした。
そこで、とにかく実践あるのみということで、展示会に出店しているブースに片っ端から声をかけていくということを実践しました。いわば武者修行ですね。
たくさん数を重ねるに従って、少しずつ商談のコツをつかんでいきました。
こう言えば海外メーカーの人は心を開いてくれる、こっちに興味を持ってくれる、取引をしてくれるということがわかるようになってきたのです。
そんな時、私の中で衝撃的な、ある1つの出来事が起きました。
それは「香港ギフト&プレミアム」という展示会で出来事です。
私は、あるブースに置いてあったとてもおしゃれなゴミ箱が目に入り、そのブースの担当者の若い女性に、「この商品を日本で販売させてくれませんか?」と尋ねました。
すると、その担当者は、「ごめんなさい。もうすでに日本に代理店がいますので、あなたには販売することができません」と言いました。
気になった私はスマートフォンを取り出し、その商品名をGoogleで検索しました。
たしかに楽天市場のあるお店でその商品が販売されていましたが、お客様からの商品レビューはゼロ。
商品ページは作り込まれておらず、商品もまったく売れているようには見えなかったのです。
そこで私はスマホの画面を担当者に見せて、こう言いました。
「この商品ですよね?確かに日本の楽天市場で販売されていますが、全然売れていないですよ。商品のページのつくり方もとても販売しようとしているページではありません。そんなに売れていないですよね?」
するとその担当者の若い女性は、
「そうなんです。このページで、この金額では売れないですよね。日本人にとってこの商品が 9800 円というのはどう思いますか?高すぎますよね?私たちもそう思っているんです。ですから、日本の代理店にもっと値段を下げてほしい、もっと頑張ってプロモーションしてほしいと伝えているですが、全然動いてくれないんです……」
このような不平不満を言い出したのです。
そこで私は、「それならば、私がこの商品を販売しますよ!」と伝えました。商品の価格はこのぐらいで、販売ページはこんな感じでと、思いつくまま展開の方法を伝えていくうち、彼女は段々と顔色が明るくなってきたのです。
すると……、
「本当ですか !?本当にあなたがこの商品を日本で販売してくれるのですか?もしあなたが販売してくれると言うならば、私はすぐに今の代理店に電話をかけて契約を終わりにします!!」
半ば興奮気味で、抱きつきそうな勢いで、私にそう言ってくるではありませんか!(笑)
この時、私は1つのヒントをつかんだような気がしました。
つまり、日本に代理店がいるからといって、あきらめてはいけないのです。
代理店がいても、その代理店がちゃんと販売をしているとは限りません。
ましてや海外メーカーは、今の代理店に満足しているとは限らないのです。
「その代理店よりも、私たちはもっとこんなことができます。あんなことができます。」
きちんと気持ちを伝えていけば、話を聞いてくれる可能性は十分にあるのです。
さらに情熱を持って伝えれば、代理店の権利を渡してくれる可能性もあるということを知りました。
また、すでに代理店がいたとしても、それは独占販売かどうかわかりません。独占販売でなければ、私たちにもその商品を仕入れて売ることができます。
仮にその商品の独占販売権をとられていたとしても、そのブースの中にあるほかの商品は代理店の権利をとられていない可能性はけっこう高いのです。
たとえば、色違いやサイズ違いはどうなのか? 別のモデルはどうなのか?といったことを確認しましょう。
新商品であれば、まだどことも代理店契約をしていないという可能性も十分にあります。
すでに代理店がいると言われても簡単にあきらめず、食い下がっていろんな話をしてみることが重要です。
契約している代理店への不満だったり、あるいは新商品なら扱えるような話だったり、さまざまな話につながっていきます。
私はこのことに気づいたとき、これって恋愛に似ているのでは……と思いました。
「俺だったら毎日電話もするし、記念日にはデートに連れて行くし、ブランド品も買ってあげるよ。寂しい思いをさせないよ。だから、あいつと別れて俺と付き合ってほしい!」
今の恋人(代理店)の不満を聞いてあげて、自分と付き合ったらこんなに楽しいよ(魅力的な販売戦略)と伝えて、略奪(代理店の権利を与えてもらう)する。
どうでしょうか?この略奪愛テクニック、ワクワクしませんか?(笑)
最後に勝つのは情熱だ!
これまで交渉に必要なさまざまな話をしてきましたが、まとめとして「最後に勝つのは情熱だ!」ということをお伝えしておきます。
これは決して精神論ではありません。
これまで、強い情熱で商談に臨んだ結果生まれた、奇跡としか思えないような代理店獲得劇を数多く見てきたから言えることです。
あるクライアントの事例ですが、台湾の展示会で、本当に気に入った商品を見つけました。
海外メーカーにこの商品を日本で販売させてくださいと言うと、その商品はすでに日本に代理店がいるので販売することはできませんと断られてしまいました。
その方は本当にその商品が気に入っていたので、私に「何とかしてあの商品の販売権を取れないでしょうか?」と相談されてきました。
私はとにかく情熱をぶつけましょうとアドバイスしました。
そのクライアントは、次の日も次の日も足しげくブースに通い、担当者とコミュニケーションを取りました。するとメーカーの担当者の反応が変わってきたのです。
「本当はもう代理店に新商品を紹介するつもりでした。でも、あなたがそこまで言ってくれるんだったら、この商品をあなたが販売できるようにします」
そう言って、新商品の販売権を与えてくれました。
もとの代理店というのは、日本でもとても有名な商社でした。それにもかかわらず、個人である彼に販売権を与えてくれたのです。
こういうことが現場では起こるのです。
やはりビジネスは人と人なのだなと思うことがよくあります。
海外のメーカーさんだってうれしいのです。
自分たちが一生懸命に企画開発し、生産し、やっとの思いで完成させて、世界で勝負だと展示会に出展したのですから。
そんな愛する商品を日本のバイヤーが本当に気に入ってくれて、褒め称えてくれて、ぜひ私に販売させてほしいと情熱を持って伝えられたら……。
嫌な気がするわけがありません。
ビジネスの交渉は恋愛に似ているという話をしましたが、やはり自分のことを思ってくれて、愛してくれる人を悪いと思えるわけがありませんよね。
だから、私がいつもクライアントに伝えているのは、本当に素晴らしい商品に出会えたら簡単にあきらめないでほしいということです。
商品との出会いも、立派な人生の出会いなのですから。
今回は、海外メーカーとの交渉を成功に導くテクニックを紹介させていただきました。
交渉を成功に導くために必要なポイントは、メーカーの担当者にあなたに商品を任せたいと思ってもらうことです。
そのために必要なテクニックを説明してきましたが、最後のカギになるのは間違いなく情熱です。
あなたの商品に対する情熱を相手に伝え、商品の販売権を獲得していきましょう!