貿易事業に伴う「製造物責任」をカバーするPL保険とは?貿易事業に伴う「製造物責任」をカバーするPL保険とは?

PL保険とは、多くの貿易関連会社が加入している製造物責任による損害賠償をカバーする損害保険です。 

法令等で加入が強制されている訳ではありませんが、貿易に携わる人間であれば理解しておくことが必要な保険と言えるでしょう。 

大竹

今回は、そんなPL保険について解説させていただきます。 

目次

製造物責任をカバーする「PL保険」 

PL保険とは、製造物責任に関するリスクを回避するためのものです。 

「PL」というのは製造物責任(Product Liability)を省略した言葉です。 
事業者が製造した製品に欠陥があり、それによって消費者に損害が発生した場合に、製造者や販売者に課せられる責任を製造物責任といいます。 

その製造物責任は、PL法と呼ばれる法律で定められており、製品の欠陥と消費者に発生した損害の間の因果関係を立証できれば、製造者や販売者は無過失であっても責任を負うことになります。 

つまり、十分に注意を払った結果発生した欠陥であっても、それが原因で消費者に損害が発生した場合は賠償しなければいけないということです。 

PL保険では、そのような事態に陥った際に発生する賠償費用や訴訟関連費用を賄うことができます。 

なぜ輸入者がPL保険に加入するのか? 

PL法で注意しておかなければいけないのは、責任を負う対象が製造者に限定されていないということです。 

例えば、輸入販売を行った製品に瑕疵があった場合、輸入者も責任を負う対象となります。 

これは、法律の趣旨が「消費者の保護」であるからです。 
一般消費者が海外の製造者に対して損害賠償請求を行うことは容易ではないため、輸入者へ損害賠償を行えるようになっています。 

ちなみに、輸入者がPL法により損害賠償責任を負った場合、売買契約の内容に従って輸出者へ責任追及することは可能です。 
しかし、輸入者が輸出者相手に損害賠償を起こすことも簡単なことではありませんので、輸入者であってもPL保険に加入する場合が多いと言えるでしょう。 

2つのPL保険 

PL保険には、「輸出PL保険」と「国内PL保険」の2種類があります。 

輸出PL保険の対象は輸出商品で、英語で記載した賠償責任保険証券を使用し、全世界で通用するアメリカの保険約款に準じた補償内容となります。 

一方、国内PL保険の対象は、国内において販売する商品です。 
もちろん、輸入品もその対象となっており、保険証券及び約款は日本語のものを使用します。 

保険契約の確認すべき事項は、対象となる商品や補償金額、補償期間などです。 
契約を締結する際は、それらの事項を含め、契約内容をしっかりと確認するようにしましょう。 


今回は、PL保険の詳細について説明させていただきました。 

製品を販売すると、PL法により製造物責任を負うことになります。 

PL保険は、その製造物責任に基づく損害賠償費用等を補填する保険です。

大竹

製造物責任によるリスクをしっかりと把握し、適切な対策を講じていきましょう。 

セカワク公式YouTubeチャンネル
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この記事を書いた人

1988年大阪生まれ。カナダ留学と中国留学を経て、海外にて営業業務に従事。
帰国後に外資系ブランドの直営店にて販売業務を5年間経験。
2018年に卸流通企業へ転職し、海外事業部に配属。東南アジアでのバイヤー業務、オランダで1年間の駐在業務などを経験。
ひとり貿易塾を卒業後にユビケンにジョイン。貿易実務やスクール運営、広報、クラファンコンサル等を務める。

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