「輸出通関手続き」はどのように行われているのか?
国際輸送になくてはならない「フォワーダー(Forwarder)」とは、輸出入者の代わりに、通関や船積み手続きを代行する業者のことです。
皆さんは、フォワーダーがどのように「輸出通関手続き」を行っているのかご存じですか?
今回はフォワーダーが行っている手続きの流れについて、詳しくご紹介します。
フォワーダーが行う輸出通関手続きの流れ
日本から海外へ貨物を輸出するためには、税関より輸出許可を得る必要があります。
輸出許可申請の手続きは煩雑なため、通常は輸出入者がフォワーダーに依頼し、フォワーダーが代理で手続きを行っています。
以下に具体的な手続きの流れを解説していきましょう。
①依頼者から必要書類や情報を受け取る
まずフォワーダーは、インコタームズ「EXW」条件の時は輸入者、それ以外の場合は輸出者といった、通関手続き依頼者から様々な書類を受け取ります。
具体的には、船積み依頼書(S/I/Shipping Instruction)、インボイス(Invoice)、パッキングリスト(Packing List)、その他必要な許可証などの書類があります。
ちなみに、船積み依頼書(S/I)は依頼者からもらったインボイス、パッキングリストをもとにフォワーダーが作成する場合もあります。
②貨物を保税地域に搬入する
依頼者の貨物を保税地域に搬入します。
③ 輸出申告書(E/D)を作成
フォワーダーは必要に応じて依頼者から預かった書類をもとに、貨物の状態や数量などを確認し、「輸出申告書(E/D/Export Declaration)」を作成します。
「輸出申告書(E/D)」は、船積み依頼書(S/I)やインボイス、パッキングリストに記載された情報の他、HSコードと呼ばれる税番(輸出統計品目表の番号)を記載する必要があります。
パッキングリストには、船積み港や荷降港、利用する船便名、商品価格、数量などが記載されます。
ちなみに、輸出申告書で申告する貨物の価格は、輸出船積み以降のコストを含まない価格であるFOB(Free on Board)建てで記載することがルールとなっています。
インボイスの価格がFOB価格以外の場合でも、FOB価格に直して記載することが求められます。
また場合によっては、インボイスとの差額を、輸送費や貨物海上保険料の領収書などを税関に提示して説明することもあるようです。
④税関への輸出申告
次にフォワーダーは貨物を搬入した保税地域を管轄する税関に、輸出申告を行います。
なお輸出申告は、フォワーダーの社内に居る通関士が行うものです。
通関士は申告書を作成・確認して税関に申告手続きを行っていますが、近年では「NACCS」と呼ばれるシステムを利用して、オンラインでも手続きができるようになりました。
⑤税関での書類審査や貨物検査
輸出申告に基づき、税関で提出書類を確認し、必要な検査を行います。
そして税関での審査や検査に問題がなければ、輸出許可書が発行されます。
なお、輸出通関時に税関から貨物の現物検査を受けることがありますが、フォワーダーや依頼者に無断で検査が行われることはほとんどありません。
フォワーダーは税関からの連絡を受けたら、それを依頼者に伝え、時には代理人として貨物検査に立ち会います。
「現物検査は依頼者が自ら立ち会うべきなのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、依頼者が検査日や時間に合わせ、港の保税地域での検査に立ち会うことは実務上難しい場合が大半です。
フォワーダーの存在は輸出入者にとって、なくてはならない重要な存在だといえます。
⑥貨物の搬出、積み込みを行う
問題なく通関が完了したら、保税地域から貨物を搬出し、船や飛行機へと積み込まれます。
今回はフォワーダーがどのように輸出通関手続きを行っているのか、具体的な流れをご紹介しました。
フォワーダーが貿易実務において非常に重要な役割を担っているということがご理解頂けたのではないでしょうか。
輸出入者が依頼した後に、どのようにして通関の手続きが行われているのか、イメージできるようにしておきましょう。