輸出に関する法律や規制を理解しよう!
貿易の際に日本ではどのようなものが「輸出規制」されているか、皆さんはご存知ですか?
輸出品には様々な規制があり、中には国の承認を得なければ輸出できないものがあります。
今回は貿易にまつわる規制や法律についてご紹介しますので、ぜひ覚えておいてくださいね。
輸出に関する法律と規制の例
「輸出規制」と一言で言っても、様々な種類があります。
例えば、輸出が禁止されているもの、許可が必要なもの、承認が必要なものなどです。
まずは全体をひっくるめて、輸出が規制されている品目を具体的にリストアップしていきます。
・麻薬、覚せい剤
・武器、兵器関連品
・オゾン層破壊物質
・偽造通貨
・ダイヤモンドの原石
・絶滅のおそれのある野生動物
・米ぬか
・魚粉
いかがでしょうか?
上の例で挙げたものの中には、「規制されて当然だ」と思うものもあれば、「なぜ規制されているのだろう?」と疑問に感じたものもあったのではないでしょうか。
日本では、輸出が禁止されているものについては『関税法』で定められています。
また、輸出するのに許可や承認が必要なものは『外為法(外国為替及び外国貿易法)』や『文化財保護法』『植物防疫法』など、その他様々な法令によって定められています。
では、続いて輸出規制に関する法令とその内容についてご紹介していきましょう。
輸出規制品目を定めた『外為法』と『輸出貿易管理令』
通称『外為法(がいためほう)』、正確には『外国為替及び外国貿易法』は、外国為替や外国貿易の取引に関わる様々なことを定めた法律です。
そして『輸出貿易管理令』は、この『外為法』に基づいて輸出の具体的な手続きを定めた政令のことです。
輸出の際に「許可」または「承認」を必要とする物品について細かく定めているのは、この内の『輸出貿易管理令』です。
実は先程の例で挙げた輸出規制品は全て、この『輸出貿易管理令』で経済産業大臣の「許可」または「承認」を必要とするものに定められています。
武器や兵器関連品は経済産業大臣の「許可」を必要とし、その他のものも「承認」がなければ輸出できないものです。
そして、麻薬や覚せい剤、偽造通貨は当然ですが輸出禁制品として定められています。
その他に、米ぬかや魚粉は国内需要供給物資であることから、「承認」を要する品目に定められています。
そしてダイヤモンドの原石は、世界各地で不正取引が紛争原因となった経緯から、紛争を防ぐために承認制度が設けられています。
また、絶滅のおそれのある野生動物、オゾン層破壊物質は、それぞれ『ワシントン条約』、『モントリオール議定書』という日本が批准した国際ルールで決められている禁制品です。
逆委託加工貿易契約による輸出規制の例
『外為法』では上記以外にも、逆委託加工貿易契約によって皮革や毛皮の輸出を規制しています。
皮革や毛皮を原材料として輸出し、海外で加工した完成品がこれに該当します。
例えば、靴やかばん、財布、革製衣類、毛貝製品などを輸入する場合には、原材料の輸出の際に経済産業大臣の「承認」が必要です。
輸出禁止品目が定められている『関税法』
『関税法』というのは関税の確定や納付、貨物の輸出入など、税関手続きの基本的な内容が規定された法律のことです。
『関税法』の第69条2項には「輸出してはならない貨物」が定められています。
具体的には、麻薬や覚せい剤、児童ポルノ、商標権や特許権など、権利を侵害する物品などがこれに該当します。
『輸出入取引法』とその他の国内法
『輸出入取引法』は不公正な輸出取引の防止などを目的として定められた法律です。
この法律では具体的な物品ではなく、不公正な輸出取引が禁止されています。
具体的には、相手国の知的財産権などを侵害しているもの、原産地を偽っているもの、契約条項に著しく不公正がある取引品などがこれに該当します。
その他、輸出規制に関連する国内法の例
・文化財保護法
・道路運送車両法
・特定有害廃棄物質等の輸出入等の規制に関する法律
・アルコール販売法
・麻薬及び向精神薬取締法
・大麻取締法
・覚せい剤取締法
・狂犬病予防法
・家畜伝染病予防法
・植物防疫法
・林業種苗法
・鳥獣保護呼び狩猟の適正化に関する法律
・真珠養殖事業法
今回は、日本ではどのようなものが輸出規制されているか、具体的な法律などと共にご紹介しました。
ここでご紹介したものの他にも、貿易取引に関する多くの法律がありますので、興味のある方は更に調べてみてください。
貿易にまつわる規制や法律について理解し、適切な取引を行っていきましょう。