海外へ送金するための3つの方法と海外送金に伴うリスクとは?
今回は、外国への送金方法について見ていきたいと思います。
日本国内の企業と企業間、もしくは個人間などお金のやり取りでは銀行振込等が主な送金方法になると思います。
一方、海外への送金の場合は、今回紹介する3つの方法が主に使われることになります。
そんな3つの送金方法について、順番に確認していきましょう。
海外へ送金するための3つの方法
貿易取引の支払いは、国内取引と同様に通常は銀行経由で行われます。
今回は、輸入者が銀行に依頼し商品代金を輸出者に送金する、「送金小切手」「電信送金」「郵便送金」の3つの送金方法について説明します。
・送金小切手(Demand Draft D/D)
送金小切手は、文字通り小切手で支払を行う仕組みのことです。
上記の電信送金や普通送金に比べ、工程が非常に多い事がデメリットと言えます。
仕組みは国内で流通している小切手と同じであるため、比較的イメージしやすいかもしれません。
- 送金人(輸入者)は仕向銀行(日本の銀行)へ小切手による代金の支払を依頼、小切手を仕向銀行から受領
- 仕向銀行は支払銀行(国外の銀行)へ支払の指示を行い、送金人(輸入者)は小切手を受取人(輸出者)へ送付
- 受取人(輸出者)は小切手を支払銀行(国外の銀行)へ持込し、支払銀行(国外の銀行)は受取人(輸出者)へ代金の支払いを行う
・電信送金(Telegraphic Transfer T/T)
電信送金は銀行相互間の為替取引契約コルレス契約により、銀行間で電信を利用して送金する仕組みを指します。
この方法は、普段我々が利用する銀行振込に非常によく似た方法で、銀行間の支払指示を電信にて行っているため電信送金と呼ばれています。
□電信送金の流れ
※輸入者が日本、輸出者が国外の場合
- 送金人(輸入者)は仕向銀行(日本の銀行)へ海外電信送金による代金支払いを依頼
- 仕向銀行(日本の銀行)が電信により支払いの指示を支払銀行(国外の銀行)へ行う
- 電信による指示を受けた支払銀行(国外の銀行)が受取人(輸出者)に代金の支払
・普通送金(Mail Transfer M/T)
普通送金は基本的には電信送金と同じシステムです。
異なる点は、電信送金では電信で行われ支払い指示が、普通送金では郵便で行われます。
メリットは手数料が電信送金に比べて安い点ですが、電信送金よりも支払いに時間をかなり要する点がデメリットとなります。
□普通送金の流れ
※輸入者が日本、輸出者が国外の場合
- 送金人(輸入者)は仕向銀行(日本の銀行)へ海外電信送金による代金支払いを依頼
- 仕向銀行(日本の銀行)が郵便により支払いの指示を支払銀行(国外の銀行)へ行う
- 郵便による指示を受けた支払銀行(国外の銀行)が受取人(輸出者)に代金の支払 い
海外送金に伴う未収リスク
外国とのお金のやり取りについてはトラブルが付き物です。
ここでは外国送金の注意点についても説明させていただきます。
外国送金は、荷為替手形決済(信用状決済、D/P、D/A決済)と比較し手続きが非常に容易であり手数料も安価であるため、近年電信送金での支払いは増加しています。
しかしながら、電信送金は当事者間の信用関係がなければ成り立たちません。
本当に約束通りに送金してもらえるのか、という未収リスクが常に付きまとうのです。
そのため、新規の取引先との契約では、前受金や手付金等の支払い条件をつけることにより、未収のリスクを軽減するのが一般的です。
貿易契約に携わる場合は、未収金等のリスクを理解し適切な対応を取るようにしましょう。
今回は、海外へ送金するための3つの方法と海外送金に伴う未収リスクについて説明させていただきました。
電信送金を利用すれば、作業工程を減らし、送金手数料を削減することができます。
一方、電信送金には未収リスクが伴います。
未収リスクを理解し、適切な対応を講じた上で支払い条件を決定していきましょう。