FCL輸送の必要作業とは? 輸出地と輸入地での流れをそれぞれ説明
皆さんは、港でのコンテナ輸送の場面を見たことがありますでしょうか?
貿易実務をされている方でも実際に見たことがある方は少ないかもしれませんが、例えばコンテナ船で輸送してきたFCL貨物の荷降ろしを行っている場面です。
今回は、そのFCL輸送に必要な作業について説明させていただきます。
輸出地・輸入地それぞれで必要となる作業に分けて、関わる業者や必要な手続などを説明していきますのでぜひ確認してみてください。
コンテナ全てを貸し切った輸送、FCL
FCLは、一つのコンテナ全てを貸し切って製品を輸送する方法です。
英語でコンテナ満タンに乗せるという意味合いのFull Container Loadの頭文字をとって、FCLと呼ばれています。
FCLで運ばれる貨物をFCL貨物と呼びますが、単にFCLと呼ぶこともあります。
FCLが輸送方法を表すのか、貨物のことを表すのかは前後の文脈から読み取りましょう。
今回説明するFCLに関する作業については、実務ではそのほとんどをフォワーダーが担当することになるため、フォワーダーや通関業者の方にとっては必ず必要となる知識です。
貿易会社の担当者にとっては直接行うことのない業務かもしれませんが、取引の全体像を掴むといった視点では、どのような流れになっているのか理解しておいて損はありません。
それでは、実際の流れについて順番に確認していきましょう。
FCL輸送の必要作業とは?
FCLの流れは、大きく分けて輸出地での作業と輸入地での作業に分けられます。
輸出地では、製品をコンテナに詰め、輸出通関まで運送し、コンテナ船に積み込みます。
コンテナ船が輸入地に着いた後は、コンテナ船からの荷降ろしと輸入通関を行い、納品先まで運送することになります。
それでは、輸出地・輸入地それぞれでの作業を確認していきましょう。
輸出地におけるFCL輸送作業の流れ
① コンテナ船への積み込み手続をフォワーダーに依頼する。
② 船会社から借りたコンテナに輸送する製品を詰める。
※この作業はバンニングと呼ばれ、実施する際には第三者である検数人や倉庫等の責任者によって製品の状態や数量の確認が行われます。
③ フォワーダーが、コンテナ内積付表とドック・レシートを作成する。
※ドック・レシートは貨物受取確認に使われる書類ですが、書類の電子化が進んできた近年では、使用されることが少なくなっています。
④ トレーラーを使って、コンテナヤードへコンテナを運送する。
※コンテナヤードへの搬入時には、ゲートでチェックが実施されます。
⑤ コンテナが保税地域へ搬入された後、フォワーダーが税関へ輸出申告手続を行う。
⑥ フォワーダーが、オペレーターへコンテナ内積付表及び輸出許可証を提出する。
⑦ コンテナ船にコンテナが積み込まれ、船会社からB/L(船荷証券)が発行された後、輸送が実施される。
※発行されたB/Lはフォワーダーを通して受け取ることになります。
以上が、輸出地での作業の一般的な流れとなります。
実際は、いくつかの作業が同時進行したり、書類を提出する時期が前後したりする場合もありますので、臨機応変に対応することが必要です。
輸入地におけるFCL輸送作業の流れ
① 輸入地に到着したコンテナ船から、コンテナヤードへコンテナが降ろされる。
② フォワーダーが輸入通関に必要な手続を実施する。
③ フォワーダーがB/Lを船会社に提出し、引き換えにD/O(荷渡し指図書)を受け取る。
④ D/Oをオペレーターへ提出して、コンテナ内積付表とともにコンテナを受領する。
※FCLの場合は、コンテナ受領時にその中にも確認は行われません。
外観のチェックのみが行われ、問題がなければコンテナが引き渡されます。
⑤ トレーラーにコンテナを積み込み、納品先まで運送する。
※運送は輸入者自身が手配する場合もあれば、フォワーダーに依頼する場合もあります。
以上が、輸入地での作業の流れです。
一般的に輸入地での作業のほとんどが、輸入者が手配したフォワーダーによって行われることになります。
今回は、輸出地・輸入地に分けてFCL輸送に必要となる作業の流れを説明させていただきました。
基本的には、ほとんどの作業がフォワーダーによって行われるということを確認いただけたかと思います。
また、今回説明した流れはあくまで一般的なものです。
実際の取引では、想定外の事態が発生することもありますので臨機応変に対応していきましょう。