世界を旅するひとり貿易家。ワインを通じて日本とドイツの架け橋に
「時間や場所に縛られずに、世界中を旅しながら仕事ができたらいいのになぁ」
そんな理想の働き方を描く方は多いのではないでしょうか。
今回ご紹介させていただくのは、これまで世界一周の旅を2回経験し、海外で会社員をしながらサイドビジネスで貿易業をスタートされたスーツケーサーMariさん。
大好きなワインを通じたビジネスで、ご主人の故郷であるドイツと日本の架け橋になることを目標に着実に行動されています。
世界を旅するひとり貿易家のMariさんに、独占販売権獲得のコツや世界中を旅して体感した日本の魅力などを伺いました。
スーツケーサーMariさん
海外で大手企業に勤めながら、週末には貿易家としても活動。大学時代に経験した世界一周旅行でドイツ人のご主人に出会い、現在は6歳の息子さんを育てる1児の母でもある。大好きな『ワイン』を通じて日本とドイツの架け橋になるために、2021年1月より貿易ビジネスをスタート。
世界を旅しながらワインビジネスをしたい!
ひとり貿易家になったキッカケは?
お酒を飲むために世界一周をしたと言っても過言ではないほど、お酒が好きなんです。将来は日本にドイツワインを輸入したいと思っています。
また前職で貨物保険やPL保険を扱っていたので、商社の方が貿易業を行う姿を目にして「いつかやりたいなぁ」ってずっと思っていたんです。
そんな中コロナが大流行しリモートワークが主流になる中で「これなら日本に帰ってオンラインで貿易ビジネスができるんじゃないか」と思ったんです。
ワインを日本で販売するためには日本での免許取得も必須でしたので、2021年1月に海外での仕事を辞めて日本に帰国しました。
最初はドロップシッピングをしようかとも考えたのですが、手続きが煩雑で・・・。自分が日本にいなくても日本で販売できる方法を探す中で大竹さんの存在を知りました。
すぐにでもひとり貿易塾に参加したかったのですが、当時は塾の募集がなく・・・。大竹さんが監修する別のコミュニティに参加して輸入ビジネスを学び始めました。
勉強中に不安に感じたことは?
貿易の勉強を始める時に初期資金として100万円を用意したのですが、思っていた以上に資金の減りが早くて驚きました・・・。
ひとり貿易は在庫や仕入れ金がゼロでもスタートできますが、サンプル品の取り寄せや商品によっては検査費用もかかるので、ある程度の初期資金は必要です。
手持ち資金がないと商品の選択肢が狭まってしまうので、少なくても100万円位は用意したほうが良いと感じました。
独占販売権獲得のコツはメーカーのリスクを極限まで減らすこと
はじめてMakuakeで販売した商品について教えてください。
はじめてMakuakeで販売したのは、ボール状のティーフィルターがフタにぴたっと付くことで、茶葉抽出コントロールができるタンブラー『MAG TUMBLER2.0』です。
本当は最初からワインを取り扱いたかったのですが、大竹さんから「食品は難しいからやめなさい」とアドバイスいただき、このタンブラーに出会いました。
ドイツのレッド・ドット・デザイン賞を見ている時に発見し「気軽に茶葉からお茶を飲めたら優雅な気持ちで仕事ができる!」と思ったんです。すぐにメーカーに営業メールを送り、独占販売権をいただきました。
スムーズに独占販売権を獲得できた決め手は?
タンブラーの販売には食品衛生検査が必須でした。取引するにあたり、メーカー側に費用がかかると会社で凛義をあげたり時間もかかりますよね。
「あなたは費用を負担しなくて良いから私のプロジェクトを見ていて欲しい」と伝えることでスムーズに話が進みました。
メーカー側の費用負担を極限まで抑えてリスクを減らすことが独占販売権の獲得に繋がったのだと思います。
あとは今後お願い事も多いだろうと思い、Makuakeのプロジェクトを実行する前に日本の食品を海外メーカーに送って伏線を張っておきました。
Makuakeの売り上げでメーカーに貢献できれば良いのですが、初の試みで自信がなかったので・・・。
海外メーカーと良好な関係を築くためには、何かしらのギブを与えることも重要です。
初のプロジェクトで大変だったことは?
特に大きなトラブルもなく、お客様への説明、商品の梱包・配送もきちんとできました。支援者からのクレームも1件もなく、一連の流れは良かったと思います。
プロジェクト中は欧州やアジア圏へ出張中だったのですが、大竹さんが提供してくださる配送システムを使って全てリモートで対応できました。
あまり売り上げが伸びずにメーカーに申し訳ない気持ちになりましたが、Makuakeで終わりではありません。
メーカーには「次はCAMPFIREでやります」「次は百貨店で販売します」と新たな提案をすることで「じゃあ独占販売権を継続していこう!」と言っていただけました。
今では彼らの東京支店の営業担当みたいな扱いになっています。
CAMPFIREでは合同でプロジェクトをされていますが、何故ですか?
パートナーの中山さんとは、参加していた貿易家コミュニティーで出会いました。
彼女は台湾のパイナップルケーキを販売しているのですが、「パイナップルケーキとタンブラーをクロスセリングできれば、お互いに良いお客様と出会えるのでは。」と2人で話していたんです。そうしたら彼女が「それなら私は茶葉も扱います」と言ってくれて、トントン拍子に合同プロジェクトの話が進んでいきました。
彼女とは波長があって、まるでパズルがピタッとハマるみたいに動けるんです。私は得意の営業力を発揮して、彼女は日本でのネットワークをフル活用してサポートしてくれます。
ひとりだと悶々と悩んでしまうことでも、仲間と相談しながら落とし所を見つけられることでより良い方向に進んでいけると感じています。
同じ方向を向いて、お互いの足りないところを補えるパートナーはとても大切な存在です。
彼女とは東京ギフトショーにも一緒に出展しました。
東京ギフトショーは『出会い』と『学び』の場
東京ギフトショーに出展した感想は?
大学生の頃にイベントコンパニオンをやっていたので、これまで多くのイベントに参加しましたが、東京ギフトショーは他のイベントとは熱気が違いました。来場者の方が今後の事業展開を考えながらしっかり商品を選定しているんです。
直接会って商品を見てもらうことで、自分の営業力をより活かして商品の魅力を伝えることができました。どう頑張ってもモニター越しでは伝わらないものもあるので。
また東京ギフトショーに出展することで、商品への企業の反応や現在のトレンドを知ることもできました。たくさんの出会いと学びの場でしたね。
個人で出展できる展示会はあまりないので、機会を与えてくれた大竹さんに感謝しています。
東京ギフトショーでどのようなご縁がありましたか?
東京ギフトショーでは百貨店さんと出会いがあり、来年度開催予定の催事に費用負担なく商品を展示できる夢のような機会をいただけたんです。
パートナーの中山さんと一緒にタンブラーと茶葉をバージョンアップしたものを展示すると決めています。
日本とドイツを繋ぐ架け橋になりたい!
今後の目標は?
子どもが日本人とドイツ人のハーフということもあり、日本とドイツの架け橋になりたいと思っているんです。
将来的にはドイツワインを日本に輸入して、ファンになってくれた日本のお客様をドイツのワイナリーを巡る旅に連れて行くスキームを作りたいと考えています。
その夢を叶えるために今は会社員をしながら資金を貯めつつ、貿易業の知識と経験を蓄えているんです。
実はワインビジネスも少しずつ進んでいて、ドイツのワイナリーの方から既に販売許可をいただいています。
お茶を茶葉から飲む方はワインにもこだわりがある方も多いと思うんです。タンブラーの販売を通じて出会ったお客様や取引先を大切にしながら、今後のワイン事業にも繋げていきたいと思っています。
日本人の信用力は強みになる!
未来の貿易家に一言お願いします。
もし二の足を踏んでいるのなら、自分が世界の中でどんなにありがたいポジションにいるのかを認識してほしいです。日本にいればいくらでも資金を貯める手段はあります。
私はこれまで世界一周を2回経験し、いろいろな国を訪れました。数々の場面で日本人の『信用力』の高さを体感しています。
その恩恵を活かして信頼できる取引先を見つけて、みんなで日本の価値を高めていけば、さらに多くの海外メーカーが「日本で商品を販売したい」と思ってくれると思います。
そして貿易家としての一歩を踏み出したら、自分のこだわりは持ちつつも商品選定はそれほど拘らずに、幅広い視野を持つと良いです。
ひとり貿易とは言え、いろいろな方々に支えられて進んでいくのが貿易。信頼できるメーカーやパートナーに出会った時には、しっかりとその手を捕まえて一緒に歩んでいく環境を整えてくださいね。
そして何よりメーカーさんを第一に考えて文化を尊重し、かつ自分の文化もしっかり説明しながら進んでいくことが大切です。
大竹さんは採算度外視で「人を幸せにしたい」「ひとり貿易を支えたい」姿勢がひしひしと伝わってくる方です。輸入ビジネスの最善の手法と環境を提供してくれるのは大竹さんだと私は感じています。