人生を変えた「東京ギフトショー」クラウドファンディングだけじゃない貿易家の魅力とは

ひとり貿易家小林充さん

今回お話しを伺ったのは、プロサックス奏者として活躍しながら、貿易家として挑戦し続けている小林充さんです。

コロナの影響でミュージシャンの仕事が壊滅的だった時に出会った「輸入ビジネス3.0」。
本を読み終える前に自然と身体が動きひとり貿易塾の申し込みをしていたんだとか。

ひとり貿易家はクラウドファンディングがメインではあるけれど、決してそれだけではありません。
小林さんは「東京ギフトショーに参加したことで人生が変わった」と話してくれました。

何かに挑戦するといろいろなビジネススタイルが見えてくる、行動するとチャンスが訪れる。

コロナ禍の1年で大きく人生が変わった小林さんの体験をご覧ください。

プロフィール

名前:小林 充さん(48歳)
職業:ミュージシャン(サックス奏者)貿易家。現在はひとり貿易塾にてアドバイザーも務める。
貿易家歴:2020年4月よりひとり貿易塾に参加

目次

人生を変えた「輸入ビジネス3.0」

輸入ビジネス3.0

貿易家になったキッカケは?

ひとり貿易塾に参加したのは2020年4月。コロナが大流行し、ミュージシャンの仕事は壊滅的な時期でした。2020年5月の収入はなんと4,300円・・・。

そんな時期だったので、多くの方から「コロナの影響で貿易の仕事を始めたの?」と聞かれますが、そういうわけではないんです。昔から貿易に興味があったし、もともとミュージシャン以外の仕事にも挑戦してみたいと思っていました。

本屋に足を運び、いろいろな職種の本を読む中で出会った黄色い本。この本はこれまで出会った本とは別物でした。著者である大竹さんの文章力に引き寄せられ、無我夢中で読みました。

本の中に「今すぐこの本を閉じてください」という一説があるのですが、その言葉の通り本を読み終える前に自然と身体が動き、迷うことなく大竹さんが運営するひとり貿易塾に参加していました。

本が貿易家になるために背中を押してくれたんです。

貿易家の勉強を始めてから世界の凄さを実感

未経験からの輸入ビジネス。勉強中に大変だったことは?

もともと大変だとかは思わないタイプなんです。貿易家の勉強中も大変だと感じたことはなく、とにかく刺激的でした。

ひとり貿易塾で勉強できる期間は当時6ヶ月だけだったので、「とにかくやってみよう」と思い、悩まず・立ち止まらず・わからないことは多少目をつぶりながら進んでいきました。

他の受講生との関わりはありましたか?

ひとり貿易塾に参加して良かったことの1つは、共感できる貿易家の仲間達に出会えたことです。

正直、この年になって仲間意識が芽生えるとは思ってもいませんでした。一人じゃ何もできないこと、人との交流の大切さを今にして学び、ひとり貿易塾と言う名前ではありますが、そこには一人ではなく多くの仲間がいました。 

貿易家の勉強を始めてから何か変化はありましたか?

貿易家の勉強をする中で、世界のすごさを改めて実感しました!特に中国は本当にすごい。

日本では中国の製品は粗悪だとか、中国製に対してあまり良いイメージを持たない方が多いと思いますが、全然そんなことはないんです。
世界の商品はほとんど中国で作られていると言っても過言ではありません。

貿易家になってから中国人と毎日のようにコンタクトを取りますが、ものすごく真面目で、必死に仕事をしている方が多いです。

また、世界のすごさを感じる一方、日本はまだまだ古いスタイルに固執し過ぎていると感じるようになりました。

例えば印鑑やFAXの文化が未だに根付いているのもそう、それらのステップがあることで他の国よりも一つテンポが遅くなります。小さな差かもしれないけれど、積み重なると大きな差となります。

初のマクアケでは利益100円。自分の意見が商品になることの面白さを体感

貿易家になってから止まることなく前へ前へと進み続ける小林さんがこれまでマクアケで販売した商品は4つ。
その中で特に印象に残っている2つの商品についてお話しをうかがいました。

貿易家になって初めての商品について教えてください。

マクアケ販売したUVC除菌
Makuakeより引用

初めてマクアケで販売したのはUVC除菌ができるバッグ。

当時、マクアケでは除菌のできるマスクケースが1億円を売り上げ話題に。除菌ができる商品に魅力を感じていたので、中国の展示会サイトでこのバッグを発見し、即営業メールを送り契約に至りました。

もともとこの商品は化粧バッグでしたが、もっと良い商品にするために自分の意見を取り入れて改良してもらい、OEMをする形で商品を販売しました。

OEMとは

「Original Equipment Manufacturing」の略。他社の名義やブランドの製品を製造するもしくはその受託側企業のこと。

この鞄メーカーはディズニーなどとも取引のあるとても大きな会社でした。

そんな大きな会社が一個人と取引をしてくれて、さらには意見を受け入れ商品を改良、作ってくれることに感動を覚えました。

小林さん
自分の意見が取り入れられて商品になるOEMビジネスの面白さを体感しました。

小林さんの意見がたっぷり詰め込まれ改良されたバッグ

OEM比較


のぞき窓、ショルダー紐を付け、形状記憶の素材に変更。ファスナーも後ろに目一杯開くように改良することで利便性はもちろん、折り畳めることで商品を入れる箱もかなり小さくなり、輸送コストを大幅に減らすことにも成功。右下には自社「MEETS TRADING」のロゴを入れてもらいました。

初めてマクアケでプロジェクトを公開した時の気持ちを教えてください。

小林さん
やっと終わった〜

そう思いました。プロジェクトの公開ボタンを押した次の瞬間には、新しい商品を探し始めていました。

「やっと次のプロジェクトに進める!」と気持ちはすでに次に向いていましたね。

大企業と一個人が交渉する上で苦労したことはありますか?

工場メーカーなので「その商品を売らせてくれ」という依頼はこれまでも多くあったようですが、私のように「ビジネスとして一緒にやっていきたい」「MOQ(※発注できる最低数量)はゼロで取引したい」という依頼は珍しいケースだったようです。

また、メーカーがクラウドファンディングの仕組みにも興味を持ってくれたので、商談はスムーズに進みました。

メーカーさんと協力して商品を改良していく中でトラブルはありませんでしたか?

改良してもらったサンプルを5つ送ってもらった時に、そのうちの3つのライトが作動しないというトラブルがありました。

正直その時は「これが中国の商品か・・・」と思いました。

メーカーに連絡をしてサンプルに不具合があったことを伝えると、メーカーは商品に自信を持っているため「そんなことはないはずだ!」と険悪モードになったことがあります。

メーカーと話し合いをする中でわかったのは「バッグの蓋が開いている時は安全性を考慮してライトは作動しない」と言うことでした。

商品自体に問題があった訳ではなく、自分自身の商品知識のなさとメーカー側の説明不足によって生じたトラブルでした。

揉め事は疑念から生まれます。
すぐに怒るのではなく、疑念を持たずにまずは相手の話をしっかり聞くことが大切だと身を持って感じた出来事です。

これまで自分の意見を通して突き進んでしまうタイプの人間でしたが、この経験を機に主張は伝えるけれど向こうの意見をしっかり聞くことを心がけてメーカーとやり取りをするようにしました。そうすることで、メーカーとのトラブルはほとんど無くなりました。

初めてのマクアケプロジェクト、利益はどの位出ましたか?

149人の方にご支援していただき100万円ほど売り上げました。
利益はですね・・・え~、、、ほぼありませんでした!

小林さん
大袈裟にいうと利益は100円位です。

商品の検査費用・広告費・運送費・商品撮影やWebページの作成費用など、実際に経験しなければわからなかった、目に見えない予想に反した出費が多々あったのです。

またこの頃には除菌製品への疑念ムードが高まり、思った以上に売れなかった事もその要因です。

しかし、このプロジェクトを経験することで、利益を出すためにやるべきことは何かを掴み、次回からは50%の利益を出せるように予算立てして行動する事を決意しました。

2度目の商品は250万円の利益

多機能ワイヤレス&パワーバッテリーボックス。
Makuakeより引用

初めての商品の次に記憶に残っている商品は多機能ワイヤレス&パワーバッテリーボックス。

本当は2商品目としてマクアケプロジェクトで公開予定でしたが、販売するための必要検査に時間がかかり、その間に違う商品を別プラットフォームで販売したため自身では3個目のプロジェクトになります。

もともとガジェットや機械が大好きなので、この商品を中国の展示会サイトで発見した時には「なんと便利な商品!」と感激しました。すぐに営業メールを送ったところすんなり交渉が進み販売できることに。

このメーカーは既にヨーロッパなどでは有名で、日本でも多くのバイヤーが販売したいと思うはずなのですが、すんなり契約が決まったのには理由がありました。

実はこの商品、日本で一般販売まで行うためには3つの認証検査が必要だったのです。

必要だった3つの認証検査

1,PSE(電気用品安全法):2019年2月よりモバイルバッテリーが全面規制対象となった。
2,Qi(チー):ワイヤレス給電の国際標準規格
3,MFi:「Made For iPhone/iPad/iPod」のこと。その製品が「Apple公式認定品」であることを示す。

しかもこの認証検査、Qi(チー)は40万円程、MFiの検査は1つにつき500円程。めちゃめちゃ高いんです。

日本でこの商品を販売していくには認証検査が大変すぎるので、他のバイヤー達は手を出していなかったんでしょうね。

小林さん
僕がそんなに検査が必要だと知ったのは商談が終わった後でした・・・

さすがに3つの認証検査を受けるのは資金的にも時間的にも大変なので大竹さんに相談したところ、一般販売をするには3つの認証検査が必要だけれど、ネットで売る場合は日本の法律ではPSEのみ必須であることがわかりました。そのため、PSEのみ取得してマクアケで販売を実施。

1回目の反省を活かし、きちんと経費など予算立てして金額を設定したので、今回は売り上げが500万円を超え、250万円の利益がありました。

次々と商談を成功させている秘訣は何ですか?

僕は展示会サイトで商品を探しているので、営業メールを送ると返信が来る確率は90%以上です。展示会に参加しているメーカーは取引相手を探しているので、興味を持ってもらいやすいんです。

あと、一度契約を結んだメーカーには「新商品が出たらどんどん教えて」と伝えています。一度繋がりができることで、新たに商品探しをしなくても新しい商品の情報が入って来て次の商品を決めやすくなりますよ。

ちなみに、この多機能ワイヤレス&パワーバッテリーボックスも、スタンドに鏡を付けて機能も改良して、次回マクアケでまた発売を予定しています。

小林さん
鏡を付けたいと伝えたら「それ面白いね!」と乗り気で対応してくれました。

貿易家として順調に進んでいる小林さん。これまでトラブルや大変なことはありませんでしたか?

全く自覚はないのですが、僕はひとり貿易塾の中でも特にトラブルが多いらしいです。

以前、届くはずの商品が一向に届かないので確認したところ、船便混載物にワシントン条約違反品があって通関で止まっていた事がありました。(どうやら本物の蛇の皮が使われた楽器が原因だったらしい・・・)

自分の商品ではなく、一緒にコンテナに積まれていた他社商品の問題なので、自分では防ぎようのないトラブル。納期に間に合わなければ全キャンセルだったのですが、結果的にはなんとか解決し、商品も無事に到着しました。

輸入ビジネスにトラブルはつきものです。
物が来ない、数が違う、箱が潰れている、そんなことはしょっちゅうです(僕だけ?)。しかしそこで怒ってもどうにもならないので、原因を探り、メーカーと協力しながら一緒に解決策を考えることが大切です。

小林さん
その時は「ワシントン条約違反?それはすごい出来事だ!」と面白そうなのでワシントン条約について色々勉強しました。

ネットビジネスとは違った魅力「東京ギフトショー 」リアルな繋がりが人生を変えた

東京ギフトショー

マクアケでの商品販売と並行して、東京ギフトショーにも出店された小林さん。東京ギフトショーにはネットビジネスとはまた違ったリアルな繋がりがあるんだとか。東京ギフトショーに参加したことで、どんな変化があったのかをうかがいました。

日本最大の国際見本市。
国内外の各界のショップ、百貨店、専門店、卸売業者など20万人を超えるバイヤーが大動員される。

東京ギフトショーに参加したキッカケは?

ひとり貿易塾に参加した時から「自分にできることは全てやる」と決めていたので、迷いなく東京ギフトショーに参加しました。

そもそも東京ギフトショーは誰でも出店できる場所ではないのですが、大竹さんは受講生達を誰でも参加できる状況にしてくれているんです。まず、これがすごいことなのです。

受講生の中には販売できる商品にまだ出会えていない方や、出展料、東京までの距離、コロナがネックとなり東京ギフトショーに参加できない方もいました。

そのため、ひとり貿易塾で貿易家の仕事の面白さを見出せずに挫折してしまう人も正直います。

その位、貿易家にとって東京ギフトショーは大切な次へのステージ。クラウドファンディングとはまた違った魅力に溢れる世界なんです。

東京ギフトショーに出店したことで何が変わりましたか?

クラウドファンディングは自分でやるネットビジネス。
東京ギフトショーはネットから飛び出してリアルなビジネスにつながる、販路を広げるための最高の交流の場。

僕は東京ギフトショーに出展したことによって、100社以上の方と繋がることができました。ネットで商品を売るだけでなく、リアルな繋がりができることで仕事の面白みは何倍にも増えました。

クラウドファンディングの代行依頼

東京ギフトショーで出会った方から商品の販売方法の話しになり、クラウドファンディングという販売方法があることを伝えると「それはすごいですね!小林さんコンサルタントになってください」と依頼されることもありました。

貿易家の勉強をして半年程の僕にまさかコンサルの依頼が来るとは驚きでしたよ。
ひとり貿易塾で教わったことを話しただけなのですが・・・。

さすがにコンサルは丁重にお断りしたのですが、「クラウドファンディングでわからないことがあれば相談に乗りますよ」と話したところ「小林さんが私の商品を代わりに出してくれませんか?」と言われクラウドファンディングの代行を行い、売上から利益を頂くことになりました。

それを機に違うメーカーからもクラウドファンディングの代行依頼が来るようになり、どこでどんなビジネスチャンスが待っているかわからないと体感した出来事です。

卸業者との出会い

東京ギフトショーでは多くの卸業者とも出会うことができました。今はそこで出会った卸業社の中で、一番フレキシブルに動いてくれる卸さんと良きビジネスパートナーになれています。

貿易家にとって卸業者との出会いはとても重要なこと。多くの販売店と繋がっている卸業者と繋がることで必然的に自分の販路が大幅に広がるんです。

ネットビジネスだけをしていると、良い卸業者と出会える機会は中々ありません。東京ギフトショーはそんな卸業者と出会うための重要な場所なんです。

小林さん
多くの卸業者と出会っても、契約するのは大体1社。見極めて選ぶことが大切。

東京ギフトショーを経験して感じたことを教えてください。

東京ギフトショーを通じて日本の物販業界の核を見ることができ、僕の人生・価値観は大きく変わりました。

ひとり貿易家はクラウドファンディング・ネット販売がメインではあるけれど、けしてそれだけではなくリアルの物販世界もとても重要。

そして全ての物事は人と人との繋がりで成り立っている事を肌で感じる事ができました。

何かに挑戦するといろいろなビジネススタイルが見えてくる、行動するとチャンスが訪れる。

東京ギフトショーに参加したことで、人生の選択肢が大きく広がることを実感しています。

自分の欲しいもの・作りたいものを世の中に生み出せることが楽しい

ひとり貿易家小林充さん

今後の目標やなりたい姿を教えてください。

自分の見付けたもの、欲しいもの、作りたいものが世の中に広げられる貿易家の仕事はすごく面白い!今後もそういったものをどんどん生み出して世の中に広めていきたいです。

コロナの影響でミュージシャンの仕事が壊滅的だったからこそ、ガッツリと貿易家の仕事時間が取れ、いろいろな事を短期間の中で経験できました。

今後は戻りつつあるミュージシャンの仕事と両立しながら、効率よく貿易家の仕事も続けていきたいと思っています。

あとは、コロナの影響でまだ世界の展示会には行けていないので、今後はそう言った世界の展示会に足を運ぶ事が次の目標であり楽しみです。

最後に大竹さんやひとり貿易塾講師陣の皆様、そして第1期ひとり貿易塾の仲間達に心から感謝を申し上げます。

本当に楽しくて、刺激的な経験ができた「ひとり貿易塾」は僕の人生の宝です。ありがとうございました。

セカワク公式YouTubeチャンネル
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この記事を書いた人

1987年東京生まれ。大学卒業後、損害保険会社の営業事務を6年間経験。その後、夫の海外赴任に帯同するため退職し、1年間インド・ムンバイにて海外生活を満喫。帰国後は、「おうちで働く」を一つの軸に、ベビーマッサージの先生、Webデザインの勉強、物販のお手伝い、ブログ運営、様々なことに挑戦しながら、最終的に「ライター」の仕事に巡り逢う。現在の野望は「書く仕事を通して、人や物の想いを伝え続けること」。プライベートでは2児の母。

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