ネット物販15年。「違う戦い方」を求めて飛び込んだ、ひとり貿易

16歳からネット物販を始め、法人としては15年以上ECの世界で経験を積んできた手塚さん。
「既存のビジネスとは違う商流と、違う戦い方を学びたかった」という手塚さんが、新規事業として選んだのが「ひとり貿易」でした。
挑戦を続けるなかで、見えてきた新しい商売のかたちとは。これまでのネット販売とは違う、ひとり貿易ならではの面白さについて伺いました。
ひとり貿易塾10期 手塚 千央さん
16歳からネット物販を始め、現在はプリンターのインクなどを扱うネット通販事業「有限会社エコッテ」を経営する。新規事業として輸入ビジネスに挑戦し、2025年4月の香港エレクトロニクスフェアでスピーカーメーカー「NOWGO」と出会い、日本の総代理店に。
手塚さんの商品はこちら▼
- \2026年9月15日 8:00 ~ Makuakeスタート/
80g超小型クリップスピーカー『NOWGO Lava Clip』 - 360°立体音響ランタンスピーカー『NOWGO Felix 2』
型番商品の外へ。違う商流を学ぶため、ひとり貿易に挑戦

―― 手塚さんの今の働き方を教えてください。
現在は、プリンターのインクやトナーなどの消耗品を扱う会社を事業承継して経営しています。その会社の新規事業としてひとり貿易をはじめました。
長年プリンター業界にいますが、「プリンターが売れない」「印刷そのものが減っている」という話を耳にすることも増えました。既存事業だけを続けていくことへの危機感があり、違う商流や戦い方を学びたいと思ったことがきっかけです。
―― ひとり貿易塾を知ったきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけの一つは、東京ギフトショーでクラウドファンディング・ラウンジのブースを見かけていたことです。
もうひとつが、Amazonで物販や輸出入について調べていたときに見つけた『輸入ビジネス3.0』です。大竹さんが帯に載っているのを見て、読んでみました。一つひとつのやり方が具体的で、すごく体系的だと感じました。ネット通販を長くやっていたこともあり、内容もすんなり入ってきました。
―― 入塾してみて、10期の同期はいかがでしたか?
10期生は、自分が扱っている商品への愛着が強く、熱量のある方が多いです。
卒業した今でもチャットで情報交換をしている方もいます。最近もMakuakeに挑戦するときに、「クーポン出し忘れてるよ」「活動レポートはもっと上げたほうがいいよ」と教えてもらったり、逆に僕から伝えたり。
お互いに切磋琢磨できる仲間がいるのは、本当にありがたいです。
7社と契約。「レッドオーシャンには突っ込みたくない」
―― ひとり貿易塾に入ってから、どのように商品を探していったのでしょうか?
香港の展示会には2回行き、介護系の商材やプリンター関連、窓掃除ロボットなど、いろいろ見ました。
展示会で商談した3、4社に加えて、自分でメール営業も行い、合わせて7社と契約しました。
ただ、メーカーさんとのやり取りだけで半日が終わることもあり、とても全部はやりきれなくて。結果的に、スピーカーメーカーの『NOWGO』に絞りました。
―― 7社! どうしたらそんなに契約を取れるのですか?
とにかく数ですね。当時はAIも今ほど普及していなかったので、自分でメールを送る仕組みをつくり、1日50社ほどに送っていました。
―― そのなかで、なぜNOWGOのスピーカーを選んだのでしょうか?
商品を選ぶうえで意識していたのは、レッドオーシャンには突っ込まないこと。そして、人間の五感に訴えかける商品は、息が長いんじゃないかということです。
五感の中でも、僕は「音」でいきたいと思い、スピーカーを選びました。
―― 15年のネット物販の実績と経験は、独占販売権を取る際にも強みになったのでは?
日本と中国ではネット通販の事情も違うので、「物販を15年以上やっています」と言っても、それが交渉の武器になるわけではありませんでした。
むしろ武器になったのは、熱量です。
「この商品が好きだ」「デザインも機能もめちゃくちゃいい」と伝えて、関係をつくっていきました。
あとは、割とパワープレーで在庫を買いました。小型スピーカー300個、ランタンスピーカー200個、合わせて500個ほど仕入れて、「日本の代理店としてやらせてください」とお願いしました。
―― 500個! 長く物販をされていますが、在庫を持つことに抵抗はないのでしょうか?
いや、怖いですよ。金額も大きいですし、スピーカー市場には大手メーカーもたくさんいます。
それでも仕入れたのは、在庫を持たないと自分が本気でやらないと思ったからです。毎日、在庫の段ボールを見て「やるしかないな」と思っています。
「誰に届ける?」初クラファンで気づいたターゲットの重要性
―― 最初にクラファンに挑戦した商品について教えてください。
最初の商品は、360°立体音響ランタンスピーカー『NOWGO Felix 2』です。

ランタンとスピーカーが一体になっていて、360°に音が広がるのが特徴です。アウトドアはもちろん、家の中でも照明として使いながら音楽を楽しめます。
結果は、88名の方から、135万円ほどの応援購入をいただきました。
型番商品とは違うと分かっていても、15年間ネット物販をやってきたなかで、自分なりの「これくらい売れる」という基準ができていました。それと比べると、正直、思うような結果ではありませんでした。
クラファンを終えた後は、Amazonなどのネット通販に加えて、東京ギフトショーで生まれたつながりから、店舗で扱っていただくことも増えてきました。
―― 一番難しかったのは、どんなところでしたか?
ターゲットの選定です。
「スピーカーはみんな使うもの」と考えたことで、誰に届ける商品なのかが定まらなくなってしまいました。ランタンスピーカーなので、もっとアウトドアに振ってもよかったのですが、インドアに寄った部分もあり、公開までページの方向性がブレてしまったんです。
その経験から、最初に挑戦するなら、ある程度ターゲットが明確な商材のほうが進めやすいと感じました。
一方で、実際に購入いただいた方からは好意的な声も多く、商品そのものには手応えを感じています。これからMakuakeで販売予定の第2弾の小型スピーカーを通じて、より多くの方にNOWGOを知っていただきたいです。
ネット物販15年。「みんながネットと言うなら、逆をいく」

―― ひとり貿易を始めてから、ご自身の中で変化を感じることはありますか?
これまで15年間ネット物販をやってきたので、「ネットでどう売るか」という発想が中心でした。でも、みんながネットに向かっているからこそ、「逆をいこうかな」と思うようになりました。
スピーカーは、実際に音を聴いてもらうことで良さが伝わる商品です。第1弾のクラファン後にイベントやポップアップに出るようになり、直接お客様の反応を見ることの大切さも感じました。
今後はNOWGOの商品を実店舗にも置いていただきたいので、第2弾のクラファン終了後は、地方も含めて卸販売を広げていく予定です。
日本での活動を発信。海外メーカーから声がかかるように
―― 海外メーカーと良好な関係を築くために、心掛けていることはありますか?
日本での活動を、LinkedInで発信するようにしています。
海外メーカーにとって、日本の市場や販売状況はなかなか見えません。そこで展示会やイベントに出たときには、写真とともに活動の様子を投稿しています。メーカーも見てくれていて、喜んでくれています。
面白いのは、発信を続けていると、NOWGO以外の海外メーカーからも声がかかるようになったことです。スピーカーメーカーのほか、アメリカのKickstarterで実績のあるヘッドホンメーカーから連絡をいただいたこともあります。
海外メーカーにとって、日本で自分たちの商品を扱ってくれる事業者を探すのは簡単ではありません。だからこそ、「日本で実際に活動している人だ」と分かる発信には意味があると感じています。
スリリングで、面白い。ひとり貿易だからできる経験
―― 今後、扱ってみたい商品や、貿易を通じてやってみたいことはありますか?
今はNOWGOで手いっぱいですが、いずれはいろいろなカテゴリーの商品を扱ったり、OEMに挑戦したりしてみたいです。
商品を選ぶ基準は、「五感に訴えるもの」「日常的に使えるもの」、そして自分が「好き」と思えるもの。どんな商品でも、お客様に少しずつファンになってもらうことが大切だと思うので、地道にコツコツやっていきたいです。
―― 長く物販をされてきた手塚さんが感じる、「ひとり貿易ならではの面白さ」は何でしょうか?
すべてを自分で経験できることです。
商品を探して、メーカーと交渉して、契約して、売り方を考えて、お客様の反応を見る。うまくいったことも失敗したことも、全部自分に返ってきます。
スリリングでもあるし、すごく楽しいです。ほかの仕事では、なかなか味わえない面白さだと思います。
どこまでやるかは自分次第。貿易家とは「自分との戦い」

―― 未来の貿易家にひとことお願いします。
最初から広げすぎず、ある程度絞って取り組むことが大切だと思います。
展示会に行ったり、人の話を聞いたり、ネットで調べたりすると、たくさんの情報が入ってきます。でも、物販をする以上は、そのプラットフォームにいるお客様を考えて、ターゲットをブレさせないこと。そうすればPDCAも回しやすくなります。
あとは、どれだけ時間を使えるかですね。
新しいことを始めるときの不安は、お金、時間、スキルの3つが大きいと思います。
ひとり貿易なら無在庫で挑戦できるし、スキルは塾で学んだり、外部のサービスを活用したりできます。そうすると、最後に残るのは「時間」です。
すべてを自分でやるのではなく、任せられるところは誰かに任せて、自分がやるべきことにどれだけ「時間」と「熱量」を注げるか。これが大事だと思います。
―― 最後に、恒例の質問です。手塚さんにとって「貿易家」とは?
自分との戦いです。
どこまでやりたいのか。どんな商品を届け、その商品を通してどんな文化やメッセージを広げたいのか。
やるのも、やめるのも自分次第。だからこそ、貿易家は「自分との戦い」だと思います。







