インフルエンサーと協力してクラウドファンディングの支援を集める方法

クラウドファンディングでは、プロジェクト期間中もただ支援を待つのではなく、積極的に支援を集めることが必要です。

特に重要なのは、スタートダッシュ成功の鍵を握る事前集客です。

しかし、中だるみしがちな期間でも、プロジェクト開始後の勢いを保つために様々な工夫を考えることがポイントです。

主な戦略としては、プロジェクト期間中に自社広告や依頼広告を出すこと、プレスリリース、プレゼント企画など様々な方法があります。

その中の1つに、YouTuberやSNSのインフルエンサーに商品の魅力を伝えてもらうギフティング施策があります。

今回は、YouTuberなどのインフルエンサーと協力してのギフティング施策について解説していきましょう。

目次

そもそもギフティングとは?

ギフティング施策とは、商品のPR施策で言うギフティングとは、商品のサンプルをインフルエンサーに配り、商品を宣伝してもらう方法のことです。

インフルエンサーの評価基準は、YouTuberであればチャンネル登録者数、InstagramをはじめとしたSNSであればフォロワー数などで決められます。
後述しますが、この評価基準がギフティングを依頼する際の相場観や報酬の交渉に影響します。

特にクラファン物販で相性がいいのは、YouTuberのギフティングです。

インフルエンサーといっても、Instagram、Twitter、TikTokなど様々な媒体があります。
ただ、クラファン物販の特性を考慮すると、最も相性がいいのはYouTubeになります。

というのも、物販系のクラウドファンディングの主なターゲットは、多くは30~50代の比較的お金に余裕のある男性サラリーマンです。
MakuakeやCAMPFIREなどでは最近は女性支援者の比率も増えていますが、ガジェットやアウトドアなどは依然として男性向けの商品が多いのが実状です。

この客層がよく見る媒体というと、Instagram、TwitterやTikTokは少し考えにくいでしょう。
一方、YouTubeであれば30~50代の男性が頻繁に見ているようなチャンネルは数多くあります。

商品にもよりますが、上記の属性に合っている商品の場合は、YouTubeのギフティング施策がオススメです。
クラファン物販で提案する商品の客層に合った媒体のインフルエンサーを協力相手として考えてみましょう。

クラウドファンディングのギフティング施策のメリットについて

クラウドファディングの支援を目的としたギフティング施策のメリットは、主に3つあります。

1つ目は、大きくバズる可能性があるということです。
YouTuberのギフティング施策は、広告出稿やプレスリリースとは少し趣が違うPR施策です。
勿論場合によっては大コケする可能性もありますが、YouTuberの紹介内容や、YouTuberが保有するチャンネル登録者数によっては大きくバズることもあります。
そのため、スタートダッシュではイマイチ支援が伸びなかったような場合でも、プロジェクト期間中に大きく挽回できる可能性も出てきます。

2つ目は、クラファンおかわりや一般販売でも利用できることです。
YouTuberの紹介動画は、CAMPFIREやmachi-yaなどでクラファンおかわりを行う際に利用することができます。
ちなみに、クラファンおかわりとは、別のクラファンサイトで同じプロジェクトを起案することを言います。

また、クラウドファンディング終了後の卸販売の交渉や、自社ECサイトで販売する際にも、当該動画を埋め込むことでPR効果が期待できます。

もしYouTuberの紹介内容が良いと感じたら、クラファンおかわりや一般販売でも引き続きPRに有効活用していきましょう。

最後に、ほぼ無償で紹介してもらえる場合があるということです。
チャンネル登録者数が10,000人程度のマイクロインフルエンサーの場合、無償で紹介を依頼できることも珍しくありません。
しかしサンプル品を報酬として提供する必要はあるので、サンプル品の仕入れ費用はかかるでしょう。

そうした点では完全な無償という訳にはいきませんが、他のPR施策に比べれば予算を大きく抑えることも可能です。

クラウドファンディングのギフティング施策のデメリットについて

クラウドファンディングのギフティング施策には、次のようなデメリットもあります。

まず1つ目が、大コケする可能性もあるということです。
YouTuberのギフティング施策は、上手く客層とハマれば大きくバズる可能性はありますが、逆に大コケしてしまう可能性もあります。
実際に広告出稿やプレスリリースに比べると、再現性に欠ける施策だと言えます。

特に属性を正しく判断しないと、チャンネル登録者数が多い有名YouTuberでも高確率で大コケしてしまいます。
そのため、チャンネル登録者数が多過ぎないマイクロインフルエンサーに無償で依頼するか、無理のない予算の範囲内で依頼するようにしましょう。

また、商品のデメリットを発信される可能性があるのもデメリットの1つです。
ギフティング施策では、「商品のメリットだけを言ってください」などと内容をインフルエンサーに指定することは原則できません。
内容を指定するとステルスマーケティングにあたってしまうので、商品の販売者と、YouTuberともに大きな批判を受ける可能性があるからです。

YouTuber側も自身の運営するチャンネルの信用性を担保しなければならないので、悪い商品を良い商品と偽って紹介するわけにはいきません。
そのため、商品力が低い商品だった場合には、デメリットを発信されてしまう可能性があります。

YouTuberギフティング施策成功のポイントとは?

以上を踏まえて、クラファン物販におけるYouTuberギフティング施策の成功のポイントや注意点を解説していきましょう。

YouTuberギフティング施策は、バズることもあれば大コケすることもありますが、予算を抑えて実施できる施策です。
興味がある方は、まずはマイクロインフルエンサーと協力して、実験的にやってみるのもありです。

有償ギフティングの相場観と依頼時のポイント

前述したように、ギフティング施策には有償のギフティングと、無償のギフティングの2つのパターンがあります。

有償ギフティング施策の相場観は、最近は単価がフォロワーあるいはチャンネル登録者数を単位として、1人あたり1~3円くらいの場合が多いです。
しかし、YouTuberが事務所所属なのかフリーなのか、またはYouTuber自身の方針によっても大きく変わるものです。
そのため、上記の相場観も断定はできないので、あくまで目安となります。

特に有償ギフティングの場合は、他のPR施策との優先順位を考慮し、無理のない予算の範囲内で行うようにしましょう。
目安としては、高くても20万円以内です。

登録者数の多いYouTuberに高い報酬を支払って紹介してもらったからといって、必ず支援が伸びるわけではなく、大コケすることもありえます。
無理をして高い報酬で依頼するよりも、余裕のある範囲内で依頼できるようなYouTuberを探しましょう。

また、有償ギフティングの場合はきちんと契約書を交わすようにしてください。
インフルエンサーの中には、紹介を依頼したにも関わらず、プロジェクト期間内に紹介してくれない方もいます。
そのため、特に有償ギフティングの場合は、短期でも契約書を交わして期限を守ってもらいましょう。

また、YouTuberなどに依頼してから、実際に紹介してくれるまではだいたい1ヶ月くらいを目安に考えておいてください。
プロジェクト開始から中だるみ期間中に紹介してもらった方が効果は見込めるので、早めに準備を進めておきましょう。

無償ギフティング依頼時の報酬交渉のポイント

有名なYouTuberでも大コケすることもあれば、逆に登録者数が10,000人程度の無償でギフティング依頼できるYouTuberがバズることもありえます。

そのため、できるだけサンプル費用の負担だけで済む無償ギフティングも視野に入れるようにしておきましょう。
報酬を交渉する際は、まず「商品を差し上げますので1回YouTubeで紹介して頂けませんか?」と交渉してみてください。

登録者数の多くないマイクロインフルエンサーの場合、収益関係以前に、紹介依頼があったこと自体を嬉しいと思ってくれる傾向があります。
また「こんな良い商品を誰よりも早く紹介します!」と発信することで、よいブランディングになるため、商品を紹介したYouTuberにもプラスになります。

ただし、無償ギフティングがNGならば、それ以上の交渉はできません。
その時には、有償ならいくらなのか確認したり、他のYouTuberを探したりと、臨機応変に対応しましょう。

チャンネル登録者数よりも商品の属性でYouTuberを選ぼう!

ギフティング依頼するYouTuberについては、勿論チャンネル登録者数も重要です。
しかし、登録者数が多い強力なインフルエンサーほど有償となる場合が多いのが実状です。

また、登録者数が多くても、中には「フォロワー買い」と言われる金銭で登録者を購入する行為をして、ファンが多いように見せかけているYouTuberもいます。
そのため、登録者数よりも商品と属性が合っているかどうかが重要です。
商品に適したYouTuberであれば、マイクロインフルエンサーでも大きく支援が伸びる可能性があります。

特に、何らかのカテゴリーに特化して商品の紹介動画を多く出している人は、紹介動画を専門的に配信しています。
そのため、売り出したい商品との属性が合っている可能性が高いです。

登録者数だけではなく、動画の中身も確認してから、実際のギフティング依頼をするようにしましょう。

紹介内容は敢えてメリットとデメリットの両方を発信してもらおう!

動画の内容については特に指定せず、お客様目線で商品のメリットもデメリットも含めて率直な意見を言ってもらう方がよいです。
その方がステマ防止になりますし、メリットだけではなくデメリットや向き不向きもしっかり伝えることで、視聴者もより信用して商品を購入できます。

消費者が知りたい内容は「この商品が自分に合っているかどうか?」という部分です。

例えば、
「この商品は●●なところが良いと思うのですが、××なところがあります。そのため、■■な人には良いけれど、△△な人には向いていないかもしれないですね」
といった商品の感想を言ってもらうと、押し売り感を抱かせることがありません。
そうした率直な意見が、かえって自然と購入を促すことができます。

ギフティングの依頼をするなら、基本的にはYouTuberに発信内容を任せて、過度な指示はしないように注意しましょう。


以上、クラウドファンディングの支援を集めるためのインフルエンサーと協力したギフティング施策の概要と、その成功のためのポイントについて解説しました。

ギフティング施策の相場観や報酬の交渉、YouTuberの選び方、依頼の方法について理解が深まったでしょうか?

YouTuberギフティング施策は、やってみないとわからないところが多いですが、場合によっては大きくバズることもあります。

必ずしも支援が伸びるとは限りませんが、余裕があれば実験的に試してみるのもオススメです。

あくまで他のPR施策との優先順位を考えて、無理のない予算の範囲で行いましょう。

この記事を書いた人

1988年大阪生まれ。カナダ留学と中国留学を経て、海外にて営業業務に従事。
帰国後に外資系ブランドの直営店にて販売業務を5年間経験。
2018年に卸流通企業へ転職し、海外事業部に配属。東南アジアでのバイヤー業務、オランダで1年間の駐在業務などを経験。
ひとり貿易塾を卒業後にユビケンにジョイン。貿易実務やスクール運営、広報、クラファンコンサル等を務める。

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