貿易家は自分を発信する場所。行動することで人生は変化する

とりあえず挑戦してみる。わからなければ聞く。行動することで、新たな人生を切り開いてきた榎本さん。 独占販売権を結ぶにあたり、海外メーカーと約束したのは「長くビジネスを続けること」だと言います。

パン工場で働いていた彼が、なぜ貿易の道を志したのか? 行動を重ねた先に、どんな自分と出会えたのか? 話を伺いました。

ひとり貿易塾8期生 榎本さん

25年間パン工場で勤務したのち、貿易家へ。現在はご実家の不動産事業を手伝いながら、貿易業を行っている。

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目次

推しの影響で興味を持った貿易。実家の事業と貿易業を両立

—— 現在の働き方を教えてください。

実家の事業を手伝いながら、貿易の仕事もしています。割合で言うと、実家の事業が7割、貿易事業が3割ほどです。貿易業は、実家の仕事が終わった夜や土日に取り組んでいます。

—— 貿易を始めたきっかけは?

私は25年間パン工場で働いていましたが、40代になって推しができたことをきっかけに、貿易に興味を持つようになりました。というのも、推しは貿易で成功している方で、彼女の話をきくうちに、当時の自分とはかけ離れた世界があることを知り、興味をそそられたからです。

さらに、行きつけのバーのバーテンダーさんが貿易塾と繋がりがある方で、「東京ギフトショーに遊びに来てみませんか?」と声をかけてくれたんです。それを機に東京ギフトショーへ足を運び、そこで大竹さんと出会いました。そして、大竹さんの著書『輸入ビジネス3.0』をいただいたことが、貿易の世界に飛び込む決め手になりました。

—— 初めての貿易業。不安はありましたか?

正直、すべてが不安でした。貿易とはまったく無縁のパン工場で長年働いていたので、『輸入ビジネス3.0』を読んでも知らない言葉ばかり。でも、思い切ってひとり貿易塾に入塾しました。

ひとり貿易塾では、わからないことは講師の方や同期に聞いて解決していきました。きっと皆さんにはたくさんご迷惑をかけたと思います。

—— ひとり貿易塾のチャットでよく質問をされていたのですね。

そうですね。過去のチャットを見ると、自分だけレベルの低い質問をたくさん送っていました。でも、どんな質問でも講師の方や仲間が親身に答えてくれました。

それによく発信していると、同期の仲間とリアルであった時も「あのよく発信してる榎本さんですね!」と声をかけてもらえたりしました。

出会いはドイツの展示会。「ビジネスを続けること」を約束に独占販売権を締結

—— 記憶に残るプロジェクトを教えてください。

初めての海外展示会「アンビエンテ」で出会った『BeCooL』という防水保冷バッグです。カラフルでデザイン性の高いバッグが並ぶブースに惹きつけられました。

日本では、使い捨ての安価な防水バッグを一夏限定で使うイメージがありましたが、BeCooLなら長く使えるし、日常の買い物も楽しくなるのではと思いました。

—— ドイツの展示会で見つけた商品なんですね。独占販売権はスムーズに結べましたか?

正直、私は英語ができません。でも、スマホの翻訳機能と知っている単語を駆使して、「この商品は素晴らしいですね。とても興味があります。明日、通訳を連れてくるので、そのときにお話しさせてください」と伝えました。

翌日、大竹さんと通訳の方と一緒にブースを訪れ、「この商品が気に入りました。日本で販売させてもらえませんか?」と交渉し、「日本で長くビジネスを続けること」を条件に独占販売権をいただくことができました。

—— お互いに長期的な関係を視野に入れて独占販売権を結べたのですね。

推しからも「あなたはおそらくメール営業には向かない。その代わり、展示会にどんどん行って、信頼できる会社を見つけなさい。もし気に入った商品があれば、それを突き詰めるのが成功の道だよ」とアドバイスをもらっていました。

アンビエンテで長く付き合えるメーカーと出会えたことは嬉しかったです。

とはいえ、ここに至るまでに50社ほどの商品を見て回りましたが、なかなか相手にされませんでした。「日本でどう売るつもりなのか? これまでどんな実績があるのか?」と聞かれてもうまく答えられず、その場で名刺を捨てられることもありました。

—— Makuakeで販売するにあたり、どんなことが大変でしたか?

全てが大変でしたが、特に苦労したのは撮影と広告です。

このメーカーはバイヤー向けに商品を販売する会社で、写真や動画などの素材が一切ありませんでした。そこで貿易塾の仲間に「撮影に協力してほしい」と声をかけ、大人2人で三浦海岸まで行き、自転車を借りて、猛暑の中ひたすら写真を撮りました。同期の女性にも「こんな感じで撮るといいよ」とアドバイスをもらい、モデルをしてもらいました。

自分だけだとできないことでも、行動していると誰かが助けてくれるんです。貿易塾の仲間には感謝しかありません。

広告は自分では対応できないので、大竹さんから紹介していただいた方にお願いしました。でも、Makuakeの「もうすぐ公開」に掲載できたのが販売開始の5日前。結局広告を出さずに販売をスタートすることになりました。

ギリギリでのスタートでしたが、販売開始が7月下旬の暑い時期。白い保冷バッグを販売するには最適な時期だったこともあり、公開前に200人以上の方に「いいね」をいただき、結果的に300万円を超える支援金を集めることができました。

海外メーカーとリアルに顔を合わせることが大切

—— Makuakeを終えた後は一般販売に進んでいるのでしょうか?

現在、楽天市場Makuakeショップで販売しています。ただ、放置状態であまり売れていません……。

というのも、ひとり貿易塾を卒業したことで、少し力が抜けてしまったからです。親の介護もあり、貿易業がサボり気味になっていました。実は、今年はアンビエンテにも行かない予定だったんです。

でも、推しから「今年はアンビエンテに来ますか? いつ来るんですか?」と連絡がきまして。すぐに飛行機を予約して、2泊4日の強行スケジュールでドイツにいきました。

現地で推しに会うと、「活動していないのなら辞めたほうがいいんじゃない?」というニュアンスの言葉を言われまして。その瞬間、「私は一体何をしているんだ…..」と喝が入りました。

すぐにBeCooLのメーカーさんに会いに行き、「去年はありがとうございました。今年も頑張るので、ぜひ私と独占契約を結んでください!」と、拙い英語ながらも熱意を伝えました。

すると、メーカーのオーナーご夫妻が温かく迎えてくださり、「よく来たね」と笑顔で声をかけてくれたんです。新しい保冷バッグも紹介してもらい、再び動き出しました。

—— 榎本さんはメーカーさんとすごく良い関係を築かれていますよね。メーカーさんとのやりとりで心掛けていることはありますか?

なるべく早く返事を返すこと。そして、頻繁な情報共有を心がけています。あとは、やっぱりリアルで顔を合わせることが大きいですね。

私はデジタルに弱く、英語もわからない。直接会いに行かなかったら、きっと独占販売権も結べていなかったと思います。

—— 今後も海外展示会に足を運んで商品を探していくご予定ですか?

アンビエンテに行った時も、ウキウキしてスキップしちゃうぐらい、私は雑貨が好きなんです。だから、今後はフランスとかスウェーデンの展示会に行って商品を探したいです。やっぱり興味があるものを扱った方が、ちゃんと勉強もするし、行動できると思うので。

ひとり貿易塾で出会った仲間の存在が、最大の強みに

—— 記憶に残っている講師や仲間からの言葉はありますか?

ひとり貿易塾に入塾してまもない頃、大竹さんが講義の中で、「困ったら相談する。迷ったらメールで送信してしまえ」という話をされたんです。その言葉がじわじわと背中を押してくれました。というのも、初めて海外メーカーにメールを送る時は、「英語もろくにできない自分がメールを送っても相手にしてもらえないのでは」と悩んでいました。でも、「迷ったら送ってしまえ」という大竹さんの言葉を思い出し、勇気を出して送信ボタンを押しました。その結果、今のメーカーさんと出会い「またアンビエンテにおいでよ」と言ってもらえるほどの関係が築けたんです。

「困ったら相談する。迷ったらメールで送信してしまえ」という言葉は、今でも大切にしています。

—— 同期との繋がりはありますか?

同期との出会いは、私にとって最大の強みです。

正直、ひとり貿易塾に入る前は不安でした。ガチで貿易をやっている人や経営者、一流企業に勤めている方ばかりなのでは……と。自分なんか相手にしてもらえないかもしれない、会話すら成立しないかもしれない、と勝手に思い込んでいました。

でも、それは完全な偏見でした。実際に話してみると、本当に良い方ばかりで、いろいろな情報を惜しみなく共有してくれました。私も行動して得た情報を伝えて、Win-Winの関係が築けたのかなと。

ありがたいことに、卒業後も何人かとは関係が続いています。先日も同窓会を開催したり、商売の神様が祀られている八幡宮にお参りに行き、「これからも貿易を頑張れますように」と仲間たちとお願いしてきました。

工場勤務から世界とつながる貿易家へ。価値観が180度変化した

—— ひとり貿易に挑戦してから何か変化はありましたか?

パン工場に勤めていた頃は、決められたやり方で与えられた業務を正確にこなすという、保守的な仕事をしていました。でも、貿易家の仕事は全く異なります。自分から動かないと、何も進まない世界。価値観が180度変わりました。

以前の私は、何か新しいことに対してまず否定から入るタイプでした。でも今はまずやってみる、問題が起きたらその時に対策を考えればいい、と気軽に行動できるようになりました。さらに、誰に何を言われても「私は私なんだ」と、自分らしく生きられるようになった気がしています。

—— 今後の目標を教えてください。

日本にはまだ「高級保冷バッグ」という文化が根付いていません。だからこそ、「保冷バッグといえばBeCooL」と認識されるまでブランドを育てていきたいです。

具体的には、SNSを活用して発信に力をいれたり、ブランドを一緒に広めるチームを作ったり。将来的には自社ECサイトも立ち上げたいです。まずは楽天市場の強化、そしてAmazonでの販売も視野に入れています。夢はたくさんありますよ。

そして、ゆくゆくは自分のブランドも立ち上げたいと思っています。雑貨やアウトドア用品、ゴルフ・釣りアイテムなど、さまざまなジャンルの商品を扱えたらなと。

そのためにも、まずは今つながっている海外メーカーと長期的な関係を築き、たくさんのことを吸収していきたいです。

会社員から経営者になったことで、責任も増えました。だからこそ、人間力も高めていかないといけませんね。

—— 貿易事業は法人化されているのですね!!

はい、まだ一人社長ですが、2024年9月に法人化しました。

ひとり貿易塾では、貿易の基礎を学ぶ 、 独占契約を結ぶ 、クラウドファンディングに挑戦する 、東京ギフトショーに出展し一般販売へと進む 、そして貿易会社を立ち上げる、という流れがあるんです。

私はそのすべてに挑戦しようと決め、実際に行動してきました。

——  榎本さんの行動力、すごいですね。

私は、行動することで人生が180度変わりました。だからこそ、「まずやってみる」ことが大切だと思っています。

もちろん、厳しい壁にぶつかることも多く、乗り越えなければならない課題も山積みです。でも、それも含めて前に進んでいきます。

——  素敵なお話をありがとうございました。最後に、榎本さんにとって貿易家とは何か教えてください。

私にとって貿易家とは、「自分を発信する場」です。

世界に向けて、「榎本秀和」という存在を発信していきたいです。

セカワク公式YouTubeチャンネル
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この記事を書いた人

1987年東京生まれ。大学卒業後、損害保険会社の営業事務を6年間経験。その後、夫の海外赴任に帯同するため退職し、1年間インド・ムンバイにて海外生活を満喫。帰国後は、「おうちで働く」を一つの軸に、ベビーマッサージの先生、Webデザインの勉強、物販のお手伝い、ブログ運営、様々なことに挑戦しながら、最終的に「ライター」の仕事に巡り逢う。現在の野望は「書く仕事を通して、人や物の想いを伝え続けること」。プライベートでは2児の母。

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