マーケティング戦略に欠かせない基礎知識「4つのP」とは?

企業は様々な市場分析をした上で、自社商品を売るために、ターゲットとなる市場や顧客へのマーケティング戦略を考えています。

マーケティング戦略と聞くと、少し難しい話に感じるかもしれません。

しかし、皆さんも何かを商売する時のことを想像して頂ければ、理解がしやすいかもしれません。

というのも、マーケティング戦略というのは、端的に言えば「どのような商品を、どのように仕入れて(あるいは作って)、いくらで売って、どのように宣伝するか」を、論理的にまとめたものだからです。

今回の内容は、そんな目線を持って、身近なお店や商品を思い浮かべつつ読み進めてください。

目次

マーケティング戦略の4大要素について

マーケティング戦略では、一般的に「Product」「Price」「Place」「Promotion」の4つの要素を組み合わせて考えられています。
日本語に訳すと、「製品」、「価格」、「流通チャネル」、「プロモーション」のことで、これらをまとめて「マーケティング・ミックス」と言います。
この4要素はすべて頭文字がPであることから「4P」または「4Ps」とも呼ばれています。

現在ではマーケティングは学問の1つになっており、書店に行けば随分と分厚い本も売られています。
今回ご紹介する「マーケティング・ミックス」についても、世間では多くの理論や戦略が細かく説明されています。

商売に関心のある方ならきっと興味深い分野なので、もっと詳しく知りたいと思う内容もたくさんあるかと思います。
しかし、ここではまず「それぞれの戦略でどのようなことを考えるのか?」というポイントに絞って、簡単にご紹介していきましょう。

製品戦略(Product戦略)とは

製品戦略とは、ターゲットとなる市場及び顧客に対して、どのような仕様の製品を提供するのかを考える戦略のことです。

例えば、日本と海外とでは、洋服の色や形などの嗜好が異なるケースがあります。
しかし、サイズ表記を日本の規格に置き換えるかどうか、またデザインを日本人の好みに合わせ仕様変更するのか、あるいはそのまま輸入するのかどうかを決めていくことは製品戦略の一つです。

また商品を売るために、例えば松・竹・梅のようにグレードの違った商品を用意するのか、類似商品やカラーバリエーションなどで品揃えの充実を図るのかなど、製品の価値を掘り下げて、どのような商品を開発し、実際に販売するのかなども、製品戦略に含まれます。

価格戦略(Price戦略)とは

価格戦略とは、商品をいくらで売るのか、いくらなら売れそうかを考えたり、そのためにかかる経費を含めて「市場や顧客が製品の対価として支払う金額」を検討したりする戦略のことです。

一般的に価格を決定する際には、「コストプラス方式」と「ブレークダウン方式」の2種類があります。
「コストプラス方式」とは、商品原価に経費と利益を加えて販売価格を決める考え方です。
一方で「ブレークダウン方式」とは、競合商品の価格を参考に自社の経費や利益などを差し引く考え方となります。

そして、他にも戦略的に価格を決める方法があります。
その代表的なものが、以下に紹介する「スキミング価格戦略」と、「ペネトレーション価格戦略」の2つの価格戦略です。

スキミング価格戦略

マーケティング用語で「イノベーター」と呼ばれる、新しいもの好きや新しいものを進んで取り入れる顧客層をターゲットにして、あえて高めの価格を設定する戦略です。

市場へ導入した初期の段階で、製品開発コストの回収や利益の獲得を図ります。

ペネトレーション価格戦略

一方でスキミング戦略とは逆に、少し低めの価格設定をして、価格に敏感な大衆消費者をターゲットに一気に市場に浸透させることを優先させる戦略がペネトレーション価格戦略です。

安い製品を求めている消費者が市場に潜在的に大量にいるのであれば、この戦略は非常に有効な戦略といえます。

流通チャネル戦略(Place戦略)とは

流通チャネル戦略とは、商品の原材料を調達するためのプロセスや、生産した商品を販売するまでのプロセスにおいて、最善の方法を考える戦略のことです。

例えば、原材料を直接生産者から仕入れるのか、または商社などを通して小分けで仕入れるのか、といったことを考えるのは調達プロセスで大切な要素となります。

また販売プロセスにおいて、取引を望む会社ならどこでも販売するのか、一定の信用力のある販売先に絞るのかというのも重要な部分です。
あるいは、一社だけを販売先に選んで展開していくのか、といったことを考えることも流通チャネル戦略に含まれます。

プロモーション戦略(Promotion戦略)とは

プロモーション戦略とは、商品の存在意義、機能、利便性などを、ターゲットとなる市場や顧客に対して、効果的に訴求する方法を考える戦略のことです。

例えば、皆さんにも馴染みのあるテレビや新聞、またはインターネットなどの媒体を使って宣伝するのはもちろんです。
その上で、どのメディアで宣伝するのか、どのように表現して訴求するのかを考えることもプロモーション戦略として重要です。

また展示会などを利用し、一般消費者でなく企業にアピールする、一商品に絞って訴求する、流通業者や小売業者に「リベート」と呼ばれる販売促進費を出すなど、あらゆる販促活動はプロモーション戦略に含まれます。


今回はマーケティング戦略に欠かせない基礎知識である「4つのP」について詳しくご紹介しました。

マーケティング戦略は非常に奥が深いですが、まずはこの4点をしっかりと理解しておくことが大切です。

より詳しく学びたい方は、積極的に専門家の書籍やブログ記事、講座などからも知識を吸収していきましょう。

この記事を書いた人

1988年大阪生まれ。カナダ留学と中国留学を経て、海外にて営業業務に従事。
帰国後に外資系ブランドの直営店にて販売業務を5年間経験。
2018年に卸流通企業へ転職し、海外事業部に配属。東南アジアでのバイヤー業務、オランダで1年間の駐在業務などを経験。
ひとり貿易塾を卒業後にユビケンにジョイン。貿易実務やスクール運営、広報、クラファンコンサル等を務める。

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